TOHOシネマズ日本橋のグランド・オープンまであと2日。オープン当日から通い詰める気満々で色々と下調べしていましたが、ドリパスにて『パシフィック・リム』の特別上映がオープンに先駆けて行われるのを知り、確保のうえ、夕方から現地に馳せ参じました。
……が、なんだかイライラすることばかりでした。いちおう現地で映画館のスタッフには苦言を呈しておきましたが、ここでも改めて連ねておきます。
そもそもドリパスの案内が非常に足りないことから引っかかってはいました。『パシフィック・リム』はギレルモ・デル・トロ監督が日本の特撮に対する愛情をたっぷりと注いでくれた大作で、本邦のスタッフもそれに応え、劇場公開時には極めてクオリティの高い吹替版を製作している。字幕版が駄目、というわけではなく、そこもまた選択の重要なポイントになる、というのは作品を知っていれば解るはずなのに、上映するのが字幕なのか吹替なのかいっさい書いていなかった。ドリパスの他の作品では上映素材まで書いてある場合もあるのに、同じくらい重要な情報をすっ飛ばしたまま販売を始める、というのはそもそも作品知識があるのかどうかさえ疑わしい。
また、案内には上映開始の何と2時間も前から開場する、しかし施設全体はオープン前のため、入ったら出られないのでご了承ください、と書いてある。では、たとえば飲食物が欲しかった場合どうすればいいのか? 劇場自体がグランドオープン前なので、コンセッション自体も閉まっている可能性さえ考えられたのに、2時間も何をしていればいいのか。いったいどういう進行になっているのかが、案内からは解らない。
ここまでのポイントは、取り急ぎチケットを購入したあとで指摘したところ、後付けながら案内がありました。対処してくれたのは評価したい、けどそろそろ4年くらいやっているはずなんですから、いい加減、劇場ごとに異なる仕組みについて、きちんと案内を示すことぐらい出来てくれてもいいと思うんですが。
しかも、現地に着くと、まだ問題があった。チケットは、ドリパスで作成したマイページにある“チケットを発券”ボタンで示されたページを見せるか、プリントアウトを提示することで代用していますが、このページの案内も足りていない。そもそも何番スクリーンなのかも書いていないし、会場に行って解りましたが、受付場所は劇場ロビーではなく、上映スクリーンの入口前だった。
映画館のスタッフときちんと情報のすり合わせを行って記すべきことが大幅に欠けている。現地にドリパスのスタッフを配置していなかったらしい(呼び出して問い質そうとしましたが、いない、と言われました)のはいいとしても、それなら余計に案内は充分に済ませるべきではないのか。ドリパスでは何度か購入してますが、こうした案内の拙さにはずーっと不快感を抱いてます。もうちょっと現地に入って学んでくれんだろうか。
そして、次は劇場そのものの問題。
本音を言えば、オープン前から既に色々と不安はありました。劇場の公式ホームページに、必要な案内があまり書いていない。たとえば、グランドオープンは20日と銘打っているのに、19日分のスケジュールが公表されている。これはいったいどういう位置づけの営業なのか、たとえば全作品特別興行で料金も別立てだったり、シネマイレージのポイント付加やポイントによる鑑賞は出来るのか否か、といった情報がいっさい記載されていない。現地で訊ねたところ、同じ建物の別の施設が利用できない、というだけで、ほぼ通常の営業をしているとのことらしい。これは訊ねるのを忘れましたが、もしかしたら駐車場が営業を始めていない、などの事情で利用できない可能性もあります。他にも、料金表には3D鑑賞料金を“一律+400円”と表記しているけど、他のTOHOシネマズと同様に、配布されている3Dメガネを持ち込むと100円引きになる、という基本情報が書いていない――と現地では訴えましたが、実は薄い字で付記されていました。でも貴重な割引情報なんですから、もっと解るように表記するべきのはず。また、スケジュールのオープン前の日付に、『アメリカン・ハッスル』が上映終了、みたいなことが書いてあったり、と全般に記述が雑で、どうにも頼りない。
そして本日です。2時間も前に開場してどうするのか、と思ってましたが、その理由は、自転車を駐める場所を探すため、上映1時間ほど前に現地入りして理解できました。
実は、ほぼ同じ時間帯に、複数の作品の試写会が行われていたのです。きちんと数えはしませんでしたが、恐らく5作品はやっていたと思う。
まあ、そこまでは別にいい。問題は、そうして集まった客のあしらい方が拙いこと。
通常の営業をしている劇場、とりわけシネコンにおいて、1スクリーンだけ試写会を催す場合、チケットカウンターやもぎりでではなく、スクリーンの入口の前で受付をする、というのは珍しくない。ただ、この仕組みが有効なのは、他に試写会を催していない場合のみです。もし複数のスクリーンで同時に試写会を催して、すべてを入口の前で別々に管理すると、劇場側にとっては簡単なようでも、観客がどこに向かえばいいのか解らなくなる。動線がぐちゃぐちゃになって、却って混乱のもととなる。にもかかわらず、今日のTOHOシネマズ日本橋はこの、スクリーンの前でのみ受付、をやっていた。
その場合でも、たとえばもぎりの手前に、どのスクリーンでどの作品の上映が行われているのか、の案内がきちんと用意されていれば混乱は防げますが、それすらない。しかも、その点を考慮してか、館内アナウンスは流れていて、上映開始を知らせてはいたのですが、そのアナウンスを、コンセッションの店員が客引きをする大声が邪魔していた。
個人的にいちばん苛立ったのは、このコンセッションの騒々しさです。客が多くてひとの声が聴こえない、というならまだしも、コンセッションの中からの大声で、こちらの注文する声が店員に聴こえない、というのは本末転倒もいいところです。あまりの騒々しさに思わずこちらが声を荒げて問い質したところ、オープンしたばかりなので元気にしようと、などと言い訳をしてましたが、何でもかんでも元気にすればいい、というものではない。TOHOシネマズでも、六本木ヒルズなどは以前、カウンターの前にひとがいてもしばらく無視している、という対処をしていたので、それよりは格段にまし、とも言えますが、普通はあまり騒音を立てるものがなく、必要なアナウンスが流れるロビーで、闇雲に大声を出す必然性がまったく解らない。まして、コンセッションが繁華街に面していて、よそからの騒音でまったく声が聴こえない、というならともかく、都会とはいえビルの中で、しかも場所は日本橋。当のTOHOシネマズ日本橋のオープン案内ポスターでも、モデルが品のいい和服姿でシートに腰掛けている姿をあしらっているくらいなのに、劇場スタッフがその品を損ねる対応をしてどうする。
受付の方法は、今日限りの問題点とも考えられるので、まだいいとしても、ホームページの案内不足やコンセッションの異様な騒々しさはあとあと尾を引く可能性が高い。よそでたくさん経験を積んでいるはずなんですから、もっと繊細な考慮を施して欲しいところ。それが出来なければ、あとあと響くぞ。
と、腐してばかりでも何なので、評価するべきところは評価したい。
当然といえば当然ですが、設備は非常に綺麗です。まだオープンしたばかりだから、ということを抜きにしても、デザインは整然として清潔感がある。私が鑑賞したのはスクリーン8ですが、前のシートとの間隔が程良くあって、たとえば上映開始に入場することがあっても、あまり他の観客に迷惑をかけずに移動できそう――まあ、私自身はそもそも前が通路で、いっさい遮るものがないシートを確保してましたから、そんな心配自体なかったんですが。それでも、TOHOシネマズ日劇のように、スクリーンはでかいけど座席の間隔が狭すぎて、前を通るだけでひと苦労、ということはなさそうなのは嬉しい。
スクリーン8は、TOHOシネマズ独自のスクリーン規格・TCXと、ドルビーの新企画DOLBY ATMOSを採用してます。TCXはスクリーンの横幅が壁から壁のギリギリまで設けられていて、圧倒的な臨場感が売りになっている。この効果について、私は船橋でいちど経験済みですから、漠然と比較するつもりでいましたが、そもそも前の座席のひとの行動が気にならない、配慮の行き届いたシート構成になっているので、没入感は申し分なし。他のスクリーンは明日以降、ひとつずつ具合を確かめていくつもりですが、スクリーン8だけで判断するなら、さすがに最新の劇場なだけあって、不満は少なそうです。
劇場はコレド室町2の3階から上を利用している。映画館によってはこの動線の悪さも客足を衰えさせる一員になりますが、ここは施設入口から劇場のロビーまでのアクセスが非常に整然としていて、恐らくコレド室町全体のグランド・オープン後でも初見で辿り着けるくらい解りやすい。
これであとは、駐輪場さえ用意してくれていれば私には申し分はなかったんですが……。この規模の施設、しかもまわりが平地で、繁華街だけど住宅も少なくない、という地区に接しているんだから、予め充分な駐輪場を用意しなかったら、あとあとどういうことになるのか想像つきそうなものですが、なんでこういうところを無視する“再開発”が多いのかなー。色々と調べまして、近くに一時利用の駐輪場が設けられる計画にはなっているそうですが、未完成でしかも100台ちょっとの規模らしい。そういう案内もしてないあたり、たぶん駐輪場の問題を根本的に侮ってるんだろうなー。
最後に、映画自体は最高でした。前に観たときは吹替版、今回初めて字幕版を鑑賞しましたが、実は菊地凛子演じる森マコが、時折日本語を話す、というかたちで、司令官との親しさや、激情の表れを示していた、という発見もあったり。吹替版ではこのくだりを普通に、すべて日本語のみで処理してましたから、必ずしも必要な趣向ではなかった、とも言えますが、この工夫は快い。同時に、吹替版が如何に丁寧に作られていたか、というのが逆説的に実感できた点でも収穫でした。
もうそろそろこの辺は書いておかないと駄目かも、と思い、ひととおり書き連ねましたが……疲れました。まだ『リディック:ギャラクシー・バトル』の感想は手つかずなんですが、もー気力が残ってなさそうです……ふいい。
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