きょうは今月、特に楽しみにしていた1本を観てきました――ほんとなら封切り直後に観たかったんですが、母も興味を示したので、時間に都合を付けられる日を探した結果、今日までズレ込みました。
朝一番で訪れたのは、TOHOシネマズ上野です。出来ればDOLBY ATMOSやIMAXなど、音響は追加料金を取るレベルのところで観たかったんですが、TOHOシネマズではATMOSは先週中にほぼ終了、IMAXは日比谷も新宿も『スカイウォーカーの夜明け』が朝一番の枠を使っている――実は池袋のグランドシネマサンシャインにもIMAXはあって、こちらは朝一番からやってるんですが、ちょっと心持ち時間が早すぎる。そんなわけで、設備よりも時間帯の都合と移動しやすさを優先しました。まあ、TOHOシネマズ上野の場合、わりあい新しめの劇場であるため、どのスクリーンでも音響の質は良好ではあるので、そこまで不満はない。
待望だった本日の1本は、サム・メンデス監督が祖父から聞いた第一次世界大戦のエピソードを下敷きに、全篇ワンカットに擬した映像で決死の伝令任務を描きだした『1917 命をかけた伝令』(東宝東和配給)。構図の美しさが傑出したサム・メンデス監督と、かの凄腕撮影監督ロジャー・ディーキンスによる擬似ワンカット、と聞いたらそりゃあ私としては観に行かないわけにはいかない。
これは実に見事。確かに狙い通り、意識していなければワンカットということすら忘れてしまいます。ワンカット風の組み立てが完全に奏功しているからこその、ほぼ全篇にわたる緊張感と巧みな緩和、そしてクライマックスの驚異的な興奮に繋がっている。予告編でも用いられるショットで、まさかあんなに心が震えるとは思いませんでした。
攻撃中止命令を最前線に届ける、というシンプルな命題なのでドラマ的にもシンプルかと思いきや、この当時の戦場ならではの環境、そして最前線だからこそのドラマや細かな描写が鏤められていて見応えも波もある。実は当初、今年のアカデミー賞で大本命視されていたんですが、それも納得。そして個人的に、『パラサイト』も名作であることを認めつつも、どっちかと言えば本篇に軍配を上げたい。
ただひとつ弱点を上げるとすれば――どうやら、体調によってはけっこう酔う。事実、母が中盤あたりでいちど吐き気に耐えられなくなって中座したくらいなので、どうも調子が悪い、とかクラクラしてる、というひとはご注意を。ただ、途中抜けても面白かったのは確かだった模様。
映画館を出たのは昼食時のど真ん中、外食すると手間取りそうなので、駅前のケンタッキーで買って、帰宅後自宅で食べました。母の喉を通るかちょっと心配でしたが、ほんとに画面に酔っただけで、食欲は問題なかったらしい。
ちなみに、これが今年映画館で鑑賞した22本目の作品でした――だからなんだ、と問われると返せませんけど。
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