今年1月にリリースされた『ほんとにあった!呪いのビデオ86』を鑑賞。夜ごと窓をたたく奇妙な音に悩まされた投稿者が定点撮影の結果発見した“シリーズ監視カメラ カーテンの向こう側”、高速から執拗につきまとう車を助手席から撮影したところ奇妙なものが記録されてしまう“煽り運転”、ワークショップの演出家によって不幸な目に遭わされた女性が最後に残した映像と関連する出来事を追う長篇“続 Propagation”など全7篇を収録。
……ほんとに申し訳ないけど、この演出の方は駄目だよ。ちょっと出来が悪すぎる。
短いエピソードでも合成の不出来さ、シチュエーションの安易さが目につきますが、一番ヒドいのは長篇です。とにかく内容がダラダラしすぎてる。結局のところ演出家のむごい仕打ちによって死んだ女性の恨みが思わぬ形で成就する、といった筋書きなのでしょうが、そこに至るまでのプロセスでスタッフが何をしたいのか、何を語りたいのかかまったく解らない。確かにこの演出家はろくでなしだと思いますが、その責任を追及するのはこの番組の仕事ではない。なぜあんなものが映ったのか、その意味するところは何なのか、を探るのがあなた方の仕事でしょう。
もっといけないのが前巻でも登場した謎の“専門家”です。具体的な資料や固有名詞を出すわけでもなく、漫然と感想を言ったり、根拠の明瞭でない推測を述べるだけでは観る側は納得しません。シリーズ旧作ではこうした呪いに絡む話、具体的な現象や仕草があるものはきちんと資料や専門的な言葉を持ち出して説明する努力をしてましたし、こんな専門家の語りをダラダラと使ったりはしてなかったぞ。安易に霊能力者を出してはい解決、としなかったのはいいとしても、こんなにも役に立たない専門家の話を使ってるのは余計に質が悪い。
6月に次の巻がリリースされるようですが、個人的にはさっさとほかの演出に代えることを願ってやみません。このレベルでまた夏の連作をやられたら、本気で見限るかも知れない。
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