昨年8月リリースの『心霊~パンデミック~フェイズ16』を鑑賞。発送されてから、15巻を見てないことに気づきましたが、まあしょうがない。集団ストーカーに狙われている、と訴える女性が記録した動画“ねらわれる”、女性と遊ぶ予定が狂い山中を車で彷徨っていた男ふたりを襲った怪異“つれさる”、突然行方をくらました男性が残していったVHSテープを巡る前後編“怪魚”など全6篇を収録。
相変わらず、投稿映像に絡まないドキュメンタリー部分が雑すぎて苛々します。主題となるVHSテープの映像があからさまに『リング』の影響が色濃すぎるのもさることながら、スタッフたちのやり取り、取材の成り行きがぜんぶ不自然。
顕著なのは、依頼者が言う行方不明になっていた恋人を、スタッフが地下鉄の駅で偶然見つける、というくだりです。しかも向かいのホーム。
……直接会ったわけでもない、写真でしか見たことのない人間を、ホーム越しに見て一発で同一人物だと確信できます? まず、他人のそら似の可能性を疑いません?
よしんば同一人物だったとしても、気がついた直後に、カメラを向けられるのが更に不自然。何の取材をしてたのか不明ですが、そんなすぐに取り出せるところにあったの? 仮にすぐ撮影できる状態だったとしても、撮影者と目撃したスタッフは別人なんですから、肝心の人物がどこにいるか把握するにはタイムラグが生じる。あんな、電車が入ってきて相手をすぐ隠す絶妙なタイミングで撮影できるのもあまりに出来すぎてます。
百歩譲って、そこまでは都合良く展開した、と捉えても、その直後に依頼人に接触するくだりでの話運びが更におかしい。実は行方不明になった恋人がその日の朝に戻ってきて、スタッフたちが目撃したときには家にいる、と言われて訪ねるのですが、部屋に行くと謎の痕跡を残してふたたび消えている――という流れなんですが、私ならここでまず依頼人の行動を疑います。そもそもスタッフは、戻ってきた恋人をその家で確認してないんですから、その痕跡が本当に消えた恋人が残したものだと何故断定できる? そして徳丸、あとづけでこの事実を知って、勝手に動いたスタッフの責任を問うより以前に、観察の甘さを指摘しろよ。それが出来てない時点で同罪だよ。この映像じゃ話に何の信憑性もない、って気づけよ!!
……フェイクでも何でも、真実味を出したいなら、もっと気を遣って欲しい。前編だけでこの始末ですから、後編の時点でまともに観ていられる気分ではなくなってました。とりあえず後編に入ると台詞っぽさが悪化して、ほんとに観てられなかった。
そういう意味では、多少不自然であっても、ツッコミどころがまだ少ない、ドキュメンタリーのない映像のみのエピソードのほうがまだ楽しめます。カセットテープから鳴ってるように聞こえねえよ、とか言いたいことはありますけど、長篇よりはマシ。
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