レンタルDVD鑑賞日記その676。

 昨年10月リリースの『闇動画23』を鑑賞。ラブホテル代わりに使われる空きフロアに入っていった男女を追ったカメラが目撃した怪異“ビル”、同一廃墟で撮影されたシリーズの完結篇、この廃墟に因縁のある人物のドキュメンタリーとして撮影された映像の顛末を記録した“魔窟4 妹の行方”、心霊スポットという噂が立ち開店休業状態となった宿に潜入した撮影隊を見舞う恐怖“お面”の全3篇を収録。
 もうフェイク・ドキュメンタリーである、という正体を隠す気がまったくないらしい、のでこちらも素直に短篇ホラーとして楽しむことが出来ます。そういう意味では、よく出来たP.O.V.スタイルのホラーと言える。
 ……でもやっぱりあちこち不自然さは否めない。冒頭の“ビル”は暗がりで男女を盗み撮りしようとする男ふたりがメインですが、あれだけ真っ暗で音もない空間だと、ひそひそ声もけっこう響く。ですからさすがに、撮影対象が気づかないほうがちょっと不自然。“お面”は設定としては面白いんだけど、それならもうちょっと仕掛けを慎重にして欲しい。さすがにあれではあとが続かないやろ。
 目玉は真ん中に入った“魔窟4”……だと思うんですが、複数の巻にまたがる連作のラストとしてちょっと物足りない。おんなじ廃墟を撮影した4本の動画最後の1本、という説明なので、もうちょっと何かしら明かされるのか、と思いきや、それまでの出来事とあんまし繋がりは感じられないし、語られる過去の事件は怪奇現象の源にしてもやっぱし不自然。
 もっと引っかかるのは、登場人物たちの言動や関係性にあんまし納得がいかない、という点です。あの霊能力があると思しい女性はなぜあんな行動を取ったのか、そしてどうしてあんな影響を受けたのか。そもそもこのドキュメンタリーを撮影する経緯じたいが、いちおう説明はされてますが、いまひとつしっくり来ない。私たちが触れられるのはカメラが記録できる範囲内の情報しかないので、探り得ない箇所、どう繋げていいのか解らない情報が残るのはある程度致し方ないんですが、ちょっとこれはやり過ぎで、かつ説明が不足しすぎ。『闇動画』はスピンオフの『心霊闇動画』と差別化するためか、ドキュメンタリー部分を挟まないスタイルに移行してますが、こればっかりは、発見された4本を併せた検証のドキュメントも必要なのではなかろうか。少なくとも、劇中に出てきたひとびとの発言がどの程度事実なのか、実際にどんな出来事があって、現在この廃墟がどうなっているのか、という情報を加えないと、ただモヤモヤするだけで終わりそう。

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