きょう観る作品は、母も前々から気にしていたようなので、早い段階から都合の合うこの日に組み込んでました――いざ時間割が発表されたら、最寄りのTOHOシネマズ上野では朝の8時25分と午後の16時、という変な時間帯しかない。他の劇場や、夕方以降の時間も考えましたが、相談の結果、早起きして出かけるのがいちばん無難、という判断に至りました。
ふだんなら、やっと朝食を摂るくらいの時間に出かけて鑑賞した本日の作品は、幕藩体制の崩壊により衰退した大阪の経済を救い、明治初期の政治経済に大きな影響を及ぼした男・五代友厚の半生を、先日早逝した三浦春馬が演じた歴史ドラマ『
率直に言えば、だいぶダイジェストっぽさの強い作りです。五代友厚という傑物の半生を、2時間にも満たない尺のなかに可能なだけ凝縮しようとした結果、見せたいシーンやシチュエーションを詰め込むのに必死で、整理しきれなかった印象。
しかしだからこそ、それぞれの場面が力強い。龍馬、岩崎弥太郎、伊藤博文という、歴史的に面識はあってもさすがに一堂には会したことはないだろう、という面子が囲炉裏を囲んで酒を酌み交わす場面や、断続的に描かれる逃走劇から想像以上に風格のある立ち回り、グラバーや大久保利通に対する交渉や進言のひと幕など、見せ場に事欠きません。いささか都合よくまとめすぎだろ、と思うところはあっても、ここまでドラマティックだとシンプルに響いてしまう。混沌とした時代に、新しい日本を作るため、憎まれることさえ厭わず駆け巡った男を描くやり方としては、このくらい乱雑でエネルギッシュでよかったのかも知れません。
それにしても、脇もいいですが、やはり友厚を演じた三浦春馬は素晴らしかった。子供たちと戯れるときは、気心の知れた仲間たちと歓談する際の無邪気な笑顔と、日本の未来のかかったひと幕での気迫の籠もった表情のメリハリ、その説得力が秀逸。いつまでも観ていられる、そして、もう新たに撮られることがないのがひたすら残念に思える好演でした。
図らずも話題となってしまって、公開最初の週末でグッズが完売してしまう、という事態に陥ってましたが、来週火曜日にはどうやら販売再開するらしい。パンフレットはそれに先んじて既に復活していたので、ちゃんと押さえてきました。丁寧な記事を見るに、けっこう脚色も多いのですが、それをきちんと提示するあたりも含め、五代友厚という人物への深いリスペクトを感じる。そして、あまりにも早く逝ってしまった三浦春馬への複雑な想いも。私は基本、鑑賞した映画のパンフレットは、発売されている限り買っておくのがポリシーですが、そうでないひとも買っておいて損のない内容だと思います。
鑑賞後は、駅の近くにあるケンタッキーで昼食を買って帰宅。少し離れたところまで足を運んでいるなら現地で食べて帰りますが、上野界隈、しかも上映終了が11時前では、買って帰るのが楽です。
コメント
[…] 監督:田中光敏 / 脚本:小松江里子 / プロデューサー:近藤哲 / […]