西部劇は大スクリーンで観たかったなぁ……。

　そういったわけで、午前中は昔の家の片付けをしていたので、映画館へのお出かけはなし。その代わり、仮眠を挟んで夕方から、配信での映画鑑賞をしてました。
　今年３本目となるNetflixでの鑑賞作品は、ポール・グリーングラス監督最新作、ポーレット・ジャイルズの小説をもとに、南北戦争終結後、南軍の元将校と、先住民に育てられたドイツ人の少女の旅を描いた『この茫漠たる荒野で』(Netflix配信)。
　監督初の西部劇……とは言うけれど、この監督のテーマはたいてい戦争かテロによって翻弄された人々なので、戦場に赴かざるを得なかった大尉と、大人や社会の身勝手に流浪の身の上となった少女、という題材はむしろ非常に彼らしい。
　そしてストーリーはシンプル、しかしディテールは克明、というのもポール・グリーングラス監督ならでは。現代の価値観に寄せて配慮しつつも、この時代ならではの社会像、人間性を反映した物語になっていて、西部劇であり、歴史ドラマとしての風格も漂わせている。
　ただそれだけに、日本では（私の知る限り）配信でしか鑑賞出来ないのが惜しい。リドリー・スコット監督作品を多数手懸けた撮影監督による、広大な西部の美しい景色や、中盤の銃撃戦に終盤でふたりを襲う脅威など、スクリーンも音響設備も整ったところでなら素晴らしい臨場感だろうな～、という場面が多々ある。Netflixはあともう少し、“映画館でこそ堪能出来る愉しさ”に理解を示して欲しいと思う……映画館でかけるのに適した作品は、短期間でもいいから映画館でかけてよ。
　いずれにせよ、西部劇ならではの見せ場もきっちり用意しつつ、監督らしいテーマを織り込み、それでいて親しみやすい物語へと落とし込んだ。シンプルだけど味わい深い傑作でした。やっぱりこの監督の作品は好きだな私。