最近、土曜日はあまり映画館に行く気がしません。席が半減しているとは言え、目いっぱい売れれば劇場は混み合う。劇場もこちらも対策には気を配ってるはずですが、誰もがそうとは限らず、客が増えればそれだけ問題も生じやすい……感染する危険より、そういう思慮不足にいちいち反応してしまうのが自分でイヤなのです。
しかし、緊急事態宣言の影響による公開時期の密集、あとこちらの作業の問題もあって、観たい作品は山積みになっている。特に今月は仕事よりも、生活の都合で予定が多くて、映画館に行ける日もちょっと限られてる。そういうわけで、他に予定のない今日は映画鑑賞するしかないのです。
映画館はTOHOシネマズ上野。鑑賞したのは細田守監督最新作、『サマーウォーズ』に続いてネットワークの世界を舞台に、現実世界での歌声をなくしていた少女と、ネット内で憎まれる“竜”の物語を描いた『竜とそばかすの姫』(東宝配給)。
これまでの細田守監督作品の特徴的な要素が混ざりあっている、集大成的な印象のある作り。これまでになく“歌”をフィーチャーし、3DCGを活用した立体感や華やかさを演出してますが、微妙に難しさを孕む家族関係や、人数を絞った青春ドラマ、お年寄りや『バケモノの子』にも通じるクジラのモチーフなどなど、際立った部分にいちいちこれまでの細田作品の面影がちらつくのが面白い。
けっこう長い期間に及ぶ話なので、編集がパッチワーク的でバラバラに感じられるのですが、膨大な情報をモザイク様に結合していく、ある意味ネット社会のらしさを巧みに象徴した描き方にもなってる。そして、そうして情報を断片化していることが、一部で現実のやり取りを戦略シミュレーション風に描いてみるようなお遊びを許容させ、何より、クライマックスのちょっとした謎解きやカタルシスにきちんと貢献してる。個人的には、“竜”を巡る謎解きにもう少し複雑さがあってもいいような気はしましたが、でもそれが本筋ではないので、本篇くらいでいいんだとも思う。
それにしても、アニメとしての見せどころの多さが秀逸。全般に歌うくだりなんですが、ネット内は華やかで、現実ではとても繊細。それが融合するクライマックスは震えるほどです。あと個人的には、改めて佐藤健の巧さを実感しました。劇中、声のみで圧倒してきます。
『おおかみこどもの雨と雪』以降の細田作品にある歪さもありながら、作家性を維持して更に洗練を強めた作品。個人的に、ストーリーの精度も含めれば未だに『サマーウォーズ』のほうが完成されてる、とは思いますが、自身の構想に重きを置くようになってからの細田監督の代表作と言っていいのではないでしょうか。
私の観た回は11時15分に上映が終わる。家に帰ってから食べるのがちょうどいい頃合いなので、予め母に伝えたうえで、駅近くのファストフードで母の分も食事を買って帰宅。きょうのような好天なら、上野は自転車で訪れているところですが、あんまし食品を触れ回したくなかったので、電車を利用しました。
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[…] 原作、監督&脚本:細田守 / 作画監督:青山浩行 / CG作画監督:山下高明 / Cgキャラクターデザイン:Jin Kim、秋屋蜻一 / […]