激しい胃痛を訴えて来院した女性ケイラが、1ヶ月後、ふたたび来院した。診察したチェイス医師は上の空に話を聞き流し、結果、1時間後にケイラは大量に吐血して担ぎ込まれた。それから6ヶ月後、査問委員会を前に、関係する医師に助言を試みたステイシー弁護士は、一連の成り行きを確かめる……
前シリーズ、ラスト1回前のエピソードを彷彿とさせる、聞き取りによる過去の再現、という形で描かれる話。普段でも充分にミステリになってますが、このスタイルは尚更謎解きの興趣が高まってナイスです。
上司が上司なのでのべつ幕なしに訴えられていそうな部下たちですが、ここまで深刻に、徹底して査問委員会の様子を描いたエピソードはたぶん初めてでしょう。そして、ちゃんと物語の中に、こういう経緯になった原因のヒントが隠されている。カッディ院長、ステイシー弁護士、ハウス医師に囲まれた中でチェイス医師が語る決定的な出来事は、なかなか衝撃的です。実は前シリーズの時点で張られていた伏線も用いているのが見事。
肝心の、患者の病がどういう進行をしたのか、にも工夫があるのは相変わらず。しかし今回のエピソードの特徴は、基本的に患者を思いやるあまりに周囲が選んだ行動が、結果的に悲劇のドミノ倒しを招いていることでしょう。こと、ある人物の行動は倫理的に大いに問題があります*1が、現実でもやっている人がいても不思議ではない。なかなか興味深いくだりでした。
そして査問委員会を経て辿り着いた結末は、いっそう面白そうな次回への引きになってます。次回は患者以外が流す血を見てしまうかも知れないぞ?! ああ愉しくて仕方ないな!!
*1:でも私が言っているのはハウス医師のことじゃないんだな、これが。
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