こないだフリーパスを発行したばっかりですが、スケジュールの兼ね合いで、明日以降は映画を観に行く隙間がない――配信とかレンタルのを観る可能性はありますが、とりあえず映画館で観るのは今日が今年最後となります。
最後の作品は、封切り日が確定した時点でこれにするのを決めていた。ただ問題は、フリーパスの枠が空いているか、です。念のために第2候補も選んだうえで、今年最も通った劇場であるTOHOシネマズ上野へ。幸いにも無料の枠は残っていて、無事に確保出来ましたが、いざスクリーンに行くと、けっこう席は埋まっている。たぶん、最近あまり映画館に通っていなかったようなひとも、この作品なら、とわざわざ足を運んでいるのでしょう。
というわけで、いまのところ私にとって2019年最後の1本となるはずの作品は、国民的映画シリーズ50周年にして22年振りの第50作、“くるまや”のひとびとの現在を、最新技術で修復した往年の姿とともに描き出す『男はつらいよ お帰り 寅さん』(松竹配給)。
実は私、『男はつらいよ』シリーズは、1本通して観たことがいちどもありません。なにせ映画をやたらと観るようになる前に渥美清が逝去しているので、機会がなかったのです。あえて続篇を作る、という趣向に惹かれて観ることは決めていて、予め何本か観ておくべきか、とも思ったのですが、こうなったら旧作を知らずに観てどう感じるのか、という実験をしてみるつもりで臨んでみました。
とはいえ、これほど有名な作品ですから、その登場人物や世界観、おおまかな語り口は知っている。そしてその程度で鑑賞しても、本物の“寅さん”の不在を完璧に埋めるほどに、あらゆる行間から“寅さん”が滲み出すような作品でした。
旧作の知識がないので断言は出来ませんが、恐らくCGで再現して喋らせるような真似はしていない。現在のエピソードに登場するひとびとと関連付けられる、印象的な場面を引用して対比させることで、時代の変化と共に、柴又という街やひとびとの心に刻みこまれた“寅さん”の姿を浮かび上がらせている。少なくともこの物語の中では、間違いなく“寅さん”ははっきりと生きている。実際の撮影は30年籍だったはずですが、それに勝る蓄積と、スタッフ・キャストの“寅さん”への愛を感じる作品。一方で、ちゃんと随所で喜劇としても成立しているのがさすが山田洋次監督。
鑑賞後は、2ヶ月ぶりくらいに六代目けいすけで昼食を摂ってから帰宅。諸般事情で明日以降、大晦日まで、恒例の用事以外に出かける予定は入らなくなったので、外食もこれが今年最後です……けっきょく、四代目けいすけに匹敵するほどのお気に入りは発掘できませんでした……おいしい店は1杯ありましたけど。
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