『監察医 朝顔』完走。

 初回はわりと何気なく見始めたのですが、月9らしからぬ地味さと丁寧さにハマってしまって、とうとう最終回まですべてリアルタイムで鑑賞してしまいました。

 同期に同じ監察医を題材とした作品がありましたが、あちらはドラマティックにした代わりに色々なところが雑であまりしっくり来なかった。しかしこちらは、遺体との接し方が終始リアル。きちんとした取材で裏打ちして、そのなかでしっかりドラマも築いており、監察医ならではの“死”との向き合い方が物語としての独自色として成立している。

 しかし最終話はまた輪をかけて良かった。何に感心したかって、大規模な災害が発生した場合に行われる死体検案の様子を細かに描いていること。大災害を扱うドラマはあっても、検視の難しさ、大変さに焦点を合わせた描写をしているのは珍しい。このドラマの冒頭から通して描いていた朝顔の母・里子が東日本大震災で行方をくらました、という事実とも重なって、いちどは執刀が出来なくなっていた朝顔をふたたび現場に戻らせるトリガーとして非常にうまく機能している。

 ちなみに本篇には原作がある。私は存在自体知らず、電子書籍のサイトで各巻の冒頭だけ試し読みしてみて……絵柄が合わない、と思ったので読まないことにした。試し読みした範囲でも察しのつく展開はなかなか陰鬱なものだったんですが、ドラマは人物配置を引き継ぎつつも大きく脚色を施し、原作の方向性を違うかたちで昇華することに成功しているのでは、と思います。

 上野樹里時任三郎の静かで重厚な演技も秀逸でしたが、個人的には『3年B組金八先生』から見ている風間俊介の巧さが、作品にとって救いとして機能していたのが嬉しかった。この親子は間違いなく、風間演じる桑原くんに救われてたと思います。

 いいもんを見せてもらいました……と満足してたら、次週は2時間の特別編があるんだそうです。ドラマでは冒頭で既に付き合っていた朝顔と桑原くんの馴れ初めを描く前日譚らしい。……観るしかないか。

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