孝志の親が、都の教育委員会に美術科・立花の左遷を訴えた。それを契機に、3Bの生徒たちに奇妙な動揺が拡がる。立花を追い出すな、という署名を集めようとする生徒がいる一方で、美術展に選ばれた生徒が、えこひいきされた、と見られるのを嫌がって辞退を申し出る。動揺する立花に、金八が助言を与える……
うーん……相変わらずやっていることは正しい。正しいけどドラマとして味が乏しい。序盤での伏線を丁寧に積み上げていったあとの金八先生の授業、そしてその後の流れには説得力があるのですが、引きがどうも緩くて、見ていて苛々してきます。旧シリーズの脚本家はしばしば行きすぎに陥る悪癖がありましたが、それでもユーモアの扱いはうまく、観る者の関心を逸らさない技は持っていた。前シリーズ後半から参加したこの脚本家はその辺の匙加減がどうも拙い。
ただ、金八先生の専門である国語の授業に偏らず、今回のように自画像という切り口から生徒に自我の認識を問う趣向は巧いと思います。そして、クライマックスで登場するノートの状態が実にリアルで、こういう小道具の扱いについても感心しました。
やっぱりやっていることは間違っていない。あとは、どうやって序盤の擽ったさ、地味さを補っていくかでしょうか。そして立花先生を演じる藤澤恵麻と彼女を中心に漂う古い空気をどーやって払拭するかです。狙いは悪くないだけに、こういうところで観る側に侮られたり失笑されるのは勿体ない。
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