というわけでここからはAice5最後のコンサートの模様を報告します。が、いちおうこれも来年春にはDVDが発売されるそうで、それまで詳細は知りたくない、という方もいるかも知れませんゆえ、以下は“続きを読む”記法にて切り分けておきます。うっかり日付指定で来てしまった場合は、ここで別のところに逃げてください。なお、以下人名はすべて敬称略で記しております。また一部記憶違いしている箇所があるかも知れませんがその辺はご容赦を。
オープニング
スクリーンに映しだされたのは、飛行船でメンバーがアリーナに降り立つ姿。……但しデザインは“おボクさま”仕様。画面上に出ていたのと同じ飛行船が会場に現れると、間もなく音楽が始まる。
1,Get Back
2,Stardust〜Aice5のテーマ〜
この2曲は解り易いお約束。“A・i・c・e”のコールがある1曲目にメンバー紹介の役割を果たす曲が来るのは当然と言えましょう。
3,Word I Need
実は一般市場で初めてリリースされた曲であるこれが3曲目。生だと言葉遊びが解りづらいので、折角のスクリーンを利用して字幕を出してくれればよかったのに、とちょっと思ってました。
MC
最初のMC、ですが普通にWebラジオと同じ感覚で、初めてという気がしません。一万人の観客ほとんどに彼女らのキャラクターが浸透しているのを実感させるひと幕でした。
4,マーブルロケット
神田朱未作詞のこの曲は、メンバーのイメージカラーを織りこんでいるため、やっぱり序盤に相応しい。神田をメインとしたメンバーの絡みが面白い。
5,Eternity
MC
序盤のハイライトはここです。『Eternity』終了後、今日がリーダーにして発起人の堀江由衣の誕生日であることを告げると、堀江には後ろを向かせ、木村まどかにこちらを観ないよう監視させつつ、他のメンバーは観客相手に曖昧なやり取りをして段取りの調整。そして堀江が振り向いたあと、合図と同時に会場の観客全員が、堀江のイメージカラーである青のサイリウムを一斉に掲げて、『ハッピーバースデー』を歌う、というもの。
実は入場するとき、手渡されたのがこのサイリウムと、堀江を除くメンバー四人の署名入りによる指示だったのです。誕生日に会場を押さえたのは多分堀江がこのAice5結成を呼びかけた張本人であったことに因ると思われますが、これを観客まで巻き込んだイベントにしてしまったのはなかなか面白い。堀江が調子になって、端からサイリウムを吹き消していく、なんて遊びまでしてくれたもので、序盤からいい一体感が演出できてました。
6,ショートショートケーキ
バースデー・イベントにて、この曲も含むシングル『Brand New Day』のジャケットに使われたのと同じデザインのケーキが登場したのを受けて、個人的に特に好きなこれが登場。持ち歌の数が限られているので、必ず歌うだろうとは思ってましたが、いいタイミングなので妙に嬉しかった。
7,アニメ〜仮面舞踏会〜Love & Dream
個人的にここの流れはちょっとまずかろう、と気になりました。何故かというと、スクリーンに映されたアニメにて、堀江が「イベントで誕生日を祝ってもらった」と言ってしまっていたこと。私が知らないだけでこれ以前にも堀江の誕生日をイベントで祝したことがあるのかも知れませんし、もしかしたらその場で脚本を読み上げていた可能性もあるのですが、サプライズ自体が演技と思われるような表現はちょっとまずかった。
が、直後にダンサーたちが舞踏会風のドレスと仮面を身に付けて踊り始め、その流れを受けて『Love & Dream』に入る趣向に度胆を抜かれて、冷めた印象は一発で払拭されてしまいました。このあたりで、ショーとして完成させようというメンバーとスタッフの強い意欲を実感し、いよいよ目が離せなくなっていきます。
8,白い月
木村作詞による、実はファンのあいだではけっこう人気の高い曲。メンバー中いちばん舞台経験が乏しく、歌唱面でも発展途上の娘ゆえけっこう音を外しがちで、この曲でも冒頭怪しかったのですが、あとでちゃんと合わせてきたのは立派。頑張り屋らしい木村の味がよく出ていました。
9,Believe My Love (HYPER TRANS MIX)
個人的にはこれを使うとは思っていなかったのでビックリした、初めての一般市場向けシングルに収録された、表題作のリミックス版。しかし基本的にダンス・ミュージック風なので、舞台では非常に映えます。
10,Brand New Day
11,和太鼓〜和風パラパラ〜Love Power (New Arrange)
一般販売ではラストいっこ前となるシングル曲を熱唱したあと、いちど暗転して始まったのは、何と和太鼓の演奏。中央のステージではなく、センター席後方に用意されたもうひとつの舞台を利用しており、私の位置からはどこで演奏しているのか解らずしばらく戸惑いました。この横浜アリーナはかなり配慮の行き届いたデザインで、全観客が座っている状態であればどこからでもステージがちゃんと見える構造になっているのですが、さすがに会場後方にあるとどうしようもない。
間もなく衣裳を浴衣風のものに替えたメンバーが再登場すると、『Love Power』をダンス・ミュージック風にし、和太鼓でエッセンスを添えたリミックス版を披露。ダンサーと共にAice5のメンバーも全体に散って各所が大騒ぎになる。今回基本的に演奏はオリジナル通りだったなかで、唯一アレンジを換えてきたこれが、グループの看板である『Get Back』と並んで、このコンサートでいちばん見応えのあるひと幕でした。
ちなみにこれを書きながら確認してみたところ、『Love Power』のこのアレンジはオリジナルというわけではなく、限定でリリースされていたもののようですが、詳しくは不明。
MC
ダンサーの皆さんが、リハーサル中Aice5の面々よりも華があったことなど。……うん、それについては深く追求しない。どんなものでもポーズで表現してくれる、という話になって実演する様子にはちょっと無茶がありましたけど。
12,裏・友情物語
散った状態から少しずつ移動して、先ほどまで和太鼓の演奏をしていた後方のステージに集まるというかたちで構成。先刻、和太鼓の演奏中は、どうしてわざわざあんな見づらい場所で、と思っていたのですが、こうすることでメイン・ステージから距離のある後方や三階席の人たちもかなり近い距離で眺められるからだと気づきました。この曲はメンバーの個性をうまく織りこんでおり、観客からのコールもしやすいので、ここもかなり盛り上がりました。浅野真澄の決め台詞に異様に力が入っていたのが可笑しかった。
13,five arrows
たかはし智秋作詞による、ちょっとヒップホップ風の曲。今回のコンサートを生で観て、実はいちばん感心したのは彼女でした。他のメンバーは歌詞を忘れたり微妙に音程がずれたりと細かくエラーがあったのですが、彼女だけはほとんど歌の質が崩れなかった。ステージ慣れしている、というより度胸があるのでしょう。この曲ではラップも担当していましたが、ここも完璧な仕上がり。基本的に空気読めない娘なのですが、そのくらいでバランスが取れているよーです。
14,友情物語
一曲挟んで裏でないほうの登場。やっぱりこの曲はシンプルに愉しくて宜しいです。
VTR人形劇もどき
ふたたびVTRを使ってのコーナーは、棒にイラストを描いた紙を貼った古典的な人形劇。当人たちが仮面を被っての大喜利風ひと幕まで加えた凝った趣向で楽しませてくれました。
15,Letter
animate限定販売の、メンバー全員の作詞によるバラード。CDで聴いたときはあんまりピンと来なかったのですが、こういう形で聴くとやっぱりちょっと沁みます。
16,Natural Fly
17,Re.MEMBER
やや力強さを増す16曲目に、Aice5の楽曲の中でもいちばんパワフルな最後のシングル曲に移行する、この流れは見事。『Re.MEMBER』は観てるだけで疲れる曲ですが、しかし充実感も強烈です。
MC
最後のMC。しかしこの時点ではまだ湿っぽさはなし。
18,ふりふり
浅野真澄作詞の曲です。『裏・友情物語』もそうでしたが、原曲では軽く出している台詞を、わざわざ力んでいるのが、普段の浅野のキャラクターとは違うぶん可愛い。仲の良さを表現した振付も良く、全体とは微妙にカラーが異なれど、そこがいい一曲です。
それにしても、このあたりでメイン最後となる衣裳チェンジがあったのですが、ここでもたかはしのクオリティは素晴らしかった。他のメンバーが膝上何センチ、というスカート丈なのに、彼女だけ股下何センチという世界。ステージ近くの人には見えてるんじゃないかと密かにハラハラしてました。……観られて困るようなものは穿いてなかったと思うが。
19,Love Power
やっぱりこれは外せない代表作。変化に富んだ旋律と伴奏に、視覚的な力強さも伴って見応え充分。
20,Lady Go!
リーダー堀江由衣作詞による曲。“Go! Go!”をメンバー各人なりに歌う箇所を引き延ばして、観客にも委ねることでメインパート最後の盛り上がりを演出する。バースデー・イベントで構築した会場の一体感がここで最高潮に達してます。
21,約束〜I will stand by you〜
トリを飾るのは、ファイナル・シングルでもラストに置かれているこれ。別れを惜しみながら暗さのないこの曲は、普通にクライマックスとしても相応しい曲と言えましょう。
アンコール
近年のコンサートではもう織りこまれるのが普通のアンコール。事前にインターネットで訴えかけられていたのが奏功して、コールは“A・i・c・e”に。暗くなった会場にずいぶんと長くコールが続いたあと、凝った衣裳から腕にイメージカラーの飾りをつけただけの軽装になったメンバーが再登場。
ここが本当に最後なので、じっくりと想い出や解散に際しての心境を話してくれました。多分このあとも付き合いが続くことを解っているのでやっぱりみんなカラッとしていたのですが――ひとりだけ泣くとしたらぜったいあの娘だろうな、と思っていたら案の定、木村が涙ぐんでました。最後までツボを外さない娘だ。
22,Smile
持ち歌で唯一、完璧なバラードがアンコールの1曲目。終始湿っぽさとは距離を置こうとしていたコンサートですが、さすがにここばっかりはしんみり。
23,Get Back
本当のトリはオープニングと同じく、“A・i・c・e”のコールし放題のデビュー曲。もうここまで来るとメンバーも音程を合わせたりするよりは想いを籠めて歌う、という具合で、まさにライヴならではの迫力と一体感が凄かった。
フィナーレ
そして最後は、ふたたび回廊にメンバーが赴いて、観客に向かってじっくりと挨拶をして舞台を退いていく。いったいどれだけ別れを惜しむんだ、とツッコミたくなるくらい時間をかけていましたが、最後だからこのくらいでいいのでしょう。
ステージの照明が落ちたあと、しかしそこではまだ終わらず、スクリーンにこれまでの歴史と、Aice5それぞれの最後のコメントを収めた映像が流れる。本人たちが去ったあと流すのはちょっと卑怯な気もしましたが、でもやっぱり沁みます。
更に最後にもういちど曲が流れはじめ、熱心なファンが歌い続けていましたが、私はほどほどで離脱。
そのあと。
帰り道、すぐに携帯電話を操作して、音楽再生ソフトのプレイリストをAice5から別のものに切り替える。終わった直後では却って聴く気がしなかったのと、実は来週、また別のコンサートに行く予定があるので、その予習をしたかったのです。
ちなみに帰りの電車、なんとなく席に着き損ねて、約1時間の道程をずっと立っておりました。結果、私はコンサートの開始から帰宅まで4時間以上座らずに過ごした格好。……そりゃあ疲れるわ。これを書き上げているのは3日経った日曜日なのですが、未だにちょっとグロッキーです。そんなんで次のコンサートは平気か、と思われるかも知れませんが、大丈夫だ今度は多分、逆に立ってると迷惑がられますから!
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