『モノノ怪』　海坊主 序の幕

　かつて御朱印船であったという船にて江戸へと赴く面々。そのなかにはかつて化猫騒動に巻き込まれた加世と、あの薬売りも混じっていた。船の中に池を設けた奇妙な意匠が目を惹く船中で、いつしか奇怪な出来事が続発するのだった……

　のっけから大スペクタクル。船を持ちあげる巨大な妖に、一歩も引かない――というかまるで本気にもならずに対抗する薬売りが実に格好いい。相変わらず極彩色でパースの効いた個性的な作画のインパクトが強烈です。

　しかも今回は、妖の“理”を探り出す、という観点ではなく、妖に遭遇するきっかけを作ったのは誰か、という謎解きの興味もあるのがいい。そのためにわざわざ『化猫』のエピソードで薬売りの力を目の当たりにした少女を再起用して、薬売りでさえ容疑者に組み入れてしまったのも巧い。しかもこいつならやりかねない気がするのがまた。

　まだ導入なので、いったいあの妖が登場人物にどんな関わりを持っているのか、まったく見えてきていませんが、脚本は小中千昭氏ですし、心配せずに次週を待ちましょう。