本日、いよいよTOHOシネマズ上野が正式にオープンします。既にプレオープンで訪ねてますが、あのときはまだここ限定で発行するシネマイレージカードの取扱が始まっていなかった。私の会員証はTOHOシネマズの前身ヴァージンシネマズのもので、色々と思い入れもあるため使い続けたかったのですが、今年に入って磁気テープ部分が読み込めなくなってしまい、そろそろ替えねばならなかったところ。だったら、と思い、この日まで我慢してきたので、訪れないわけにはいかない。
オープン時刻に合わせて訪ねてみたら、まあ混んでる混んでる。混雑自体は予想の範囲内でしたが、シネマイレージカードの発行と有人でのチケット発行が必要な客への対応を同じ窓口でやったうえに、列がエレベーター前に伸びるのを放置してしまったために、かなりの混乱が生じていた。しかも、3つあるカウンターに着いた係員それぞれに練度が異なっているうえに、手続の多い客が挟まると、一部の列がやたらと遅れる状況まで招いている。どういうわけかTOHOシネマズは、ストア以外で列を管理することを怠りがちな悪い癖がありますが、せめてオープン初日くらいはもうちょっと気を遣って欲しい。
そんなこんなで、カードの切替だけで30分も列に着く羽目になりましたが、どうにか手続は終了。ついでに、貯まっていたシネマイレージを放出してフリーパスも発行。ただし、そのまんま映画を観るには既に空きが少なかったので、夜の上映のチケットを確保して、出直すことに。
21時過ぎ、既に階下の店舗は営業を終えたあとで、だいぶ落ち着いたなか悠々と鑑賞した作品は、伝説の画家フィンセント・ファン・ゴッホの謎に包まれた最期を巡るドラマを、全篇油彩画で描く、という類を見ないスタイルで描きだした『ゴッホ 最期の手紙(字幕)』(PARCO配給)。
実は、タイトルだけで、TOHOシネマズ上野オープン初日に観る作品の候補にしていて、当日までまともに内容について調べてませんでした。まさか、全篇油彩画で構成されたアニメーションだとは思わなかった。お陰で、本当にゴッホの絵の世界に飛び込んだような感覚を味わえる。しかも、この特異なスタイルだからこそ可能な演出も織り込んでいて、ただ表現を眺めているだけでも圧倒されます。
しかし、ストーリー自体も秀逸。ゴッホが最期に出した手紙を届ける、という趣向をきっかけに、未だ記憶の新しい関係者たちの証言を得ていく、というスタイルは、もろにミステリの体裁。しかも、その考察も導こうとした結論も、かなり説得力があります。表現自体も意欲的なのにミステリとしてもドラマとしても上質、と、ぶっちゃけ私にとっては極上の1本。他の作品を1本目にする可能性もあったのですが、こっちを引いたのは幸運でした。複数の美術館が並ぶ上野で鑑賞するのに最適の作品でした。
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