- 『ほんとうに映った!監死カメラ15』(AMGエンタテインメント)
久々に来ました、護身的にはものすごく高く評価している怪奇ドキュメンタリーシリーズ第15巻です。事故が頻発する交差点に設置されたカメラが捉えた“ゴースト・カー”、複数の寺社仏閣で謎の叫びを上げる男性を追った“Nature Calls Me”、以前採り上げた湖に出没するといわれる淫らな霊についてのその後を描く“続・男色霊”など6篇を収録。
このシリーズは真実なら素晴らしすぎる、たとえフェイクだとしても創意があまりに優れているがゆえにほんとーに大好きなのですが、今回もよその同種ドキュメンタリーを蹴散らすぐらいの仕上がりです。
ただ、困ったことに、“怖い”と言えるような作品は少ない。ドキュメンタリー部分のないエピソードはなかなかに不気味ですが、ドキュメンタリーがちょっとでも入った話は、むしろ取材の様子やナレーションで大笑いさせられる場面が多い。最初の“行列”で引用するのが『カイジ』の利根川の台詞だったり、常連化してとうとう半ばスタッフになってしまった廃墟マニアの取材を採り上げた“廃墟9”では、シリーズを前から観ていると噴き出してしまうネタがあるかと思えば、最後にあまりにも秀逸なオチがついて、もうこの序盤のふたつだけでやられた感があります。
全部それぞれに興味深い内容ではありますが、出色なのは“続・男色霊”です。作品のヒドい影響と、その解決のためにスタッフが試行錯誤する様が描かれているのですが、この滑稽だけど実にありそうな展開が楽しい。挙げ句の果て、解決に選んだ手段がまたいい意味でヒドい。いちおう話は決着を見ていますが、犠牲になった彼がその後、本当に今までどおりの生活を送ることが出来ているのか気になります、っていうか心配です。
既に次の巻もリリースされてます。そっちも早めに借りよう、と思う一方で、あまりにも楽しくて、簡単に消化してしまうのが勿体ない気もする。ともあれ、今回も大変満足しました……まあ、初期の名作のように、そう何度も繰り返し観たくなるほどハイクオリティではないにしても、間違いなく面白い。
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