週末恒例の封切り鑑賞、ですが今週はスケジュールにずっと悩んでおりました。なにせ、大作文芸マイナーカルト、気になる作品がやたらたくさん封切られる週で、優先順位をつけるのにも難渋する有様。今後の色々な予定も鑑みた結果、本当はきのう時点で封切られている作品を1日遅らせ、この土曜日にハシゴで2本だけ押さえることにしました。この土曜封切り作品にもものすごーい気になるものが幾つかあるんですが、もう出来る範囲で拾っていくしかない……なまじ関心を持つジャンルを広げすぎたせいで、ほんとーに押さえるのが大変ですよ。
若干空模様に不安があれど、予報からすると何とか保ちそうなので、自転車にて有楽町へ。まずはTOHOシネマズ日劇です。
ふだん私は、封切りで映画を鑑賞する際、競合するものがない、1本だけに絞っている場合は、朝一番で観るのが常です。それ故に、土曜日、しかも映画サービスデー封切り、という条件を甘く見積もっていました。開映5分前に着いたら、もー劇場がひとでいっぱい。プログラムは買えましたが、フードは長蛇の列で、下手をすると本篇にすら間に合わなくなりそうなので今回は避け、場内に入ると、今度は座席の狭すぎる間隔故に、確保した席に辿り着くのにもひと苦労。ああ、やっぱり30分は余裕を見て出発するべきでした……そのうえ前に座っているひとの座高が高く、だいぶ背筋を伸ばしても、頭がちょっと字幕にかかってたし!
と、いろいろしんどい想いをしつつ鑑賞したのは、『トロン:レガシー』の監督がトム・クルーズを主演に招き、侵略戦争で崩壊した地球を舞台に描いたSF大作『オブリビオン』(東宝東和配給)。
『トロン:レガシー』がヴィジュアルはともかくストーリー的にはかなり微妙だったのでさほど期待せず、映像美だけ楽しめればいいや、程度の気持ちで足を運びましたが、思いのほか正統派で芯の通ったSF。モチーフはほとんど既存の名作SF映画で扱われたものばかりですし、一部の台詞や、終盤の展開に大雑把さな印象はあるものの、大作としての貫禄は備えています。少なくとも、『トロン:レガシー』よりは格段に上出来。
続いて向かったのは、TOHOシネマズシャンテ。ハシゴに際してのスケジュールには余裕を持たせていたので、ちょろっと買い出しをしてから……と当初は思っていましたが、日劇での混雑に懲りて、こんどは早めに劇場入り。30分以上空いている時間は上映階のロビーにて、『オブリビオン』の感想メモの準備と、軽い腹拵えに費やしました。
本日の2本目は、『オールド・ボーイ』のパク・チャヌク監督のハリウッド進出作、18歳になったばかりの少女を襲う不可解な出来事を、おぞましくも妖しいタッチで描き出した『イノセント・ガーデン』(20世紀フォックス配給)。
こちらはさすがのパク・チャヌク監督、企みに満ちたシナリオを、象徴に富んだ映像で美しく、妖しく描いている。謎解きとして鑑賞した場合、あの終盤には「あれ? あれ、そっち行っちゃうの?」と戸惑って終わる可能性もありますが、でもその着地に至る流れは見事に整っていて、納得したときの恍惚感が凄いのです。狙いの定め方がマニアックなので、多くの方にお薦めするのはためらう代物ですが、ハリウッドの精度を採り入れながらも作家性をきちんと感じさせる、素晴らしい世界進出作だと思います。『オールド・ボーイ』にもあった、緊張感のなかに紛れ込むすっ飛んだユーモアも効いてましたし。
……それにしても先月末からこっち、観たい映画の数が多すぎてほんとに困ってます。どこまでフォローできるかな〜……。
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