これも正確には昨日から始まります。
試写会鑑賞後、いったん家に戻り、夕食を摂ってから、今度は電車で新宿へ。訪れたのは角川シネマ新宿です。昨年7月に開催された、アニメ版『Another』の卒業式イベント以来です……って、つまりちゃんと映画を観るのは初めてか。あれは特別篇の上映はありましたけど、ほとんどはトークでしたし。
本日のイベントは、ジャッキー・チェン待望の最新作にして、これが最後のアクション大作と銘打った1本『ライジング・ドラゴン』(角川映画配給)が来月に公開されるのに先駆け、日本では最速での一般劇場上映を行うと共に、2000年以降のジャッキー主演作から2本を選んで同時上映、合間にゲストのトークを挟むかたちで、オールナイトにて行われるもの。私は基本的にひとりで来てしまうほうですが、本当にジャッキーが好きな人間しかいない、というこの雰囲気が好きですし、何より待望の新作をいち早く観られる機会なので、非常に愉しみにしてました。
本篇上映前に、ゲストのトークです。登壇したのは、ハリウッドでアクション指導を手懸け、最近は日本に香港スタイルのアクション演出を導入して話題となっている坂本浩一監督、今回の新作の吹替版に参加した声優おふたり、本多真梨子氏と堀川千華氏、それから仮面Pの4方。途中で、宣伝担当者が各所に交渉して実現したものの、権利の都合で映像ソフトには収録不可能なのが明白、という『プロジェクトA』の時計塔のシーンと『ポリス・ストーリー』の電飾ポール滑りの歴史的名場面を組み込んだスペシャル版予告篇を上映する、というサーヴィスまでありつつ、相変わらず熱い調子でトークが繰り広げられたのです――が、いつもと違うのは、本多真梨子嬢の存在です。今月はじめに行われたキックオフ・イベントでジャッキーマニアっぷりを示した堀川嬢と異なり、彼女はなんと『ライジング〜』がジャッキー初体験。この類のイベントでは珍しいキャラクターなので、全般にちょっと持てはやされていたり。きっと今後、堀川嬢に鍛えられるのでしょう。
そしていよいよお待ちかねの本篇上映です。ひたすらに固唾を呑んで鑑賞。
……これこそ、本当に待ち望んでいたジャッキー、でした。
『新少林寺』も『1911』も優れた映画であることは間違いない、というか洗練度ではあちらの方が上回っていると思います。でも、そのどちらにもなかった、徹底した外連味と掛け値無しの愉しさ、何より全力投球のアクションがここにはある。予告篇などでやたら美味しいところを見せすぎじゃないか、とちょっと危惧していたのですが、実はあれはまだ本当に序の口に過ぎませんでした。命懸けのスタントだけでなく、曲芸的な擬斗もふんだんにブチこまれ、余すところなくジャッキー印。正直なところ、シナリオのクオリティはいまひとつなんですが、しかしだからこそ最盛期に匹敵する、いやそれ以上と言っていいくらいの熱が感じられる。実際にどうなるかは神のみぞ知る、とちょっと思っている私ですが、ジャッキー自身がこれを最後と捉えて臨んだことは疑うべくもない。最近のジャッキーは物足りない、とか思っている往年のファンは無論、ジャッキー未体験のひとでも、その凄さが実感できる逸品。いやもう、最高です。
上映後は、坂本監督と本多嬢に代わって、キックオフ・イベントでも登壇した高澤泰一監督に、スクール・オブ・ジャッキーのポリゴン太氏が加わり、休憩を挟んでのトーク。やっぱりここでも、日本屈指のファンと言える高澤氏の話が凄かった。本篇上映後なので、ネタばらしも込みの内容なので、非常に濃かった一方、あんまりここでは触れられません。しかし、改めてこれが最後、というジャッキーの意気込みを再確認しました。
短めのトークのあと、既に日付は変わっていますが、このイベント2本目の映画上映。2001年、ハリウッドで思うようなスタントが出来ない鬱憤を晴らすかのように、アジアを舞台に撮った作品『アクシデンタル・スパイ』(日本ヘラルド配給)。まだジャッキー作品制覇の途中なので、私にとってはこれも初見です。
もう既に「最近のジャッキーは……」とよく言われていた時期だった、と記憶していますが、そんなことないでわないか。全般にシリアス寄りではありますが、相変わらずのコミカルな場面もありますし、何よりアクションの壮絶さが健在。とりわけプロローグと最後の救出劇は出色です。高澤氏が語っていた、ジャッキーの身辺の変化によるちょっとした違いもまた興味深い。
ふたたびの休憩とトークを挟み、3本目はハリウッドに戻って製作した、名作児童文学をベースにしたファンタジー・アドヴェンチャー『80デイズ(吹替)』(日本ヘラルド配給)。こちらも私は初見です……時期的に、私はもう映画道楽にハマっていた頃の作品なので、気にはなってたんですけど。
こちらは当時、ラジー賞の候補にも挙げられ、ジャッキーがしばらくリメイクに手出ししなくなった理由だった、とまで言われる作品ですが……いや、でも面白いですよ? 確かに子供っぽいし無茶な筋立てなんですが、年少者に解りやすい内容を維持しつつ、アクションは決して手を抜いていない。それどころか、中国人に設定を変えた助手パスパルトゥの郷里に赴くエピソードを加えたことで、結果的にジャッキーの“拳”シリーズのオマージュめいた描写が組み込まれているのがファンにはたまらない。だって、あのシーンにサモ・ハンが、しかもあんな役柄で出るなんて、興奮せずにいられるか!! ハリウッドでのジャッキー出演作の例に漏れず、アクションが緩めなのも確かですが、だからこそ見せ方が上達しているのが解るのもポイント。仮面Pは、いまこそ再評価すべき作品では、と考えて選んだ、と仰言ってましたが、確かに。
今回選ばれた2本、角川に吸収されたヘラルド配給だったから、という理由で選ばれたものかと思ってましたが、こうして観ると、ちゃんと『ライジング・ドラゴン』に繋がる要素を随所に嗅ぎ取ることが出来る。あまりにみっちり詰まっていて、さすがにかなーり疲れましたが、しかし充実のイベントでありました。
上映後、最後のあいさつの前に、ジャッキーのサイン入りグッズなどのプレゼント抽選会がありましたが、こちらは一切かすりもせず……まあ、グッズ目当てじゃありませんでしたからいーんですけど。いーんですけどね。
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