相変わらずばたばたがが収まりません。それでも観たい映画は日々公開され、ぼさーっとしていると劇場から消えてしまう。最近はレンタルでも観るようになりましたが、やっぱり大きなスクリーンで、じっくり集中して観たいのです。本日は、今週いっぱいしか上映されないものと、来週以降は私にとって不便な時間のみの上映となり、それで終わってしまう、と解っているものがあったので、頑張ってハシゴして参りました。
当初は朝から出かけ、先方にてまたネットカフェで休憩を挟んで……というのを考えていたのですが、色々ときついので、午後からのスケジュールに。午前中はとりあえずパソコンに向かって、少し早めに仮眠を取り、それから電車にて新宿へ。
まず向かったのは、新宿バルト9。金曜日とはいえまだ日中ですから空いているだろう、と高をくくっていたら、意外なほどの人の入り。しかもお目当ての作品が、上映20分ほど前の時点で既に、あらかた席が埋まっている。前方でも大丈夫、という私でさえちょっときついような席しか残っておりませんでした。噂には聞いていましたが本当に大ヒットしてたのね。
そんな1本目は、山下達郎が約30年に亘って行ってきたライヴのなかから厳選、自ら音声をリマスタリングし、映画館の音響に最適化させたうえで、1週間限定にて劇場公開されることとなった『山下達郎シアター・ライヴ PERFORMANCE 1984-2012』(東映配給)。9月末発売の自選ベスト盤とセットでチケットが販売されていて、購入してあったのです。さすがにこれは利用せねば。
ファンながら一度もライヴは観たことがなかったのですが……これは凄い。唯一のライヴ盤『JOY』でその質の高さは承知していましたが、いい意味でまったく変わらない、いやむしろより研ぎ澄まされている演奏が、圧倒的な臨場感で体験出来る。序盤の映像はかなーり粗いのですが、恐らくこういう形での発表を念頭においていたのでしょう、終盤で採り上げられた今年の演奏は映像のクオリティも高く、素晴らしい見応え。特に、昨年以来、とても意味のある曲となったあの曲は、感想のメッセージも併せて感動的。これはファンとしては観逃せない1本でした。ほんとーに観ておいてよかった。
当初は今日で終了予定でしたが、大好評のためにバルト9ではあと2日上映が行われるそうです。きっと相当混雑しますが、気になる方は是非……と思ったら、都内ではこのあと15日から渋谷TOEIにて1週間追加上映が行われることになっていた。まあ、あそこはこういうライヴ映像の鑑賞に向いているのかちょっと疑問なところもあるので、私としてはバルト9で観ておいてよかった。
鑑賞後、すぐさま駅のほうへ戻り、今月は都合4回目となる新宿武蔵野館へ。こちらで観たのは、『ニュー香港ノワール・フェス』3本のうち残していた最後の1本、『タクティカル・ユニット』のロー・ウィンチョン監督×ジョニー・トー製作で、娘を誘拐された父親の復讐劇を独特のタッチで描いた『やがて哀しき復讐者』(PHANTOM FILM配給)。
他の2本に劣らず、これも良品。てっきり最初から復讐劇で話が進むのかと思いきや、冒頭でまず後半の流れを予告しつつ、最初に娘が殺されるに至る誘拐劇の流れを追う。そして父親の部下にあたる、前科を持つ男が独自に犯人を追い、復讐を仕掛けていく、という展開。そのなかで、同じ場面を少し深い位置から再度見せたり、続きを見せて犯人の動きを描く、という重層的な描き方が実に巧い。わざと大きな謎を残していることや、終盤の展開に不満を抱く向きもありそうですが、私はこの苦い味わいが秀逸だと思います。
他にも観たかったものが今日で幾つか終わっていたりしますが、どーしても押さえたかった2本は拾えたので、満足して帰還。また宿題が増えてしまいましたが、明日以降、心置きなく映画を観るために、これからまた作業に励みます。
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