新世代の香港映画2本立て。

2012年4月21日、新宿ピカデリーにて再鑑賞。 土曜日は当然のように封切り映画の鑑賞……なのですが、今日は何を観に行くのか、ずーっと迷ってました。いや、作品自体は決めていたのですが、それをどこで観るか、というのが困りものだったのです。TOHOシネマズでかかるけどいちばん近いのが川崎。近場でもかかっていますが、どうせならハシゴして、別の気懸かりも解消しておきたい、と考えると、うまくスケジュールが噛み合わなかったり、噛み合っているものでも、どれを優先していいものか。

 さんざん迷ったあげく、昼食・昼寝を済ませたのちに午後から赴いたのは、先週と同じ新宿。予報では雨の気配があったので、今回も足は電車です。

 まずは新宿ピカデリーに向かい、2本目に観る作品のチケットを確保。ここは土日祝日、常に混雑している、というイメージがあったので、大事を取ったのですが――予想外に空いていた。ひとの姿はありますが、チケットカウンターは列さえ出来ておらずスムーズに購入出来ました。注目作が公開されていないから――とは個人的には思っていないだけに、何となく悔しい。

 続いて、1本目の上映館であるシネマスクエアとうきゅうへ。訪れたのは2010年の『マッハ!弐』以来です。興味のある作品はかかっているのに足が遠のきがちだったのは、場内飲食禁止、というのが喉の渇きやすい私にはネックだったためです――が、念のために係員の方に確認してみたら、いつの間にか飲食可能になってました。避ける理由がなくなった……ただ、ドリンクホルダーが設けられていないので、場内の自動販売機で売っているなかに缶のものが含まれているのはちょっといただけない。柔らかいシートだから、間違ってこぼしたら染みてしまいそうです。

 何はともあれ本日の1本目は、近年活躍目覚ましいニコラス・ツェー主演、それぞれに重い十字架を抱えた刑事と犯罪者の追跡劇を緊迫感たっぷりに描いたサスペンスビースト・ストーカー/証人』(Broadmedia Studios配給)

 わりと最近、存在を知った作品だったのですが、これは面白かった。衝撃のラスト、と呼ばれる結末についてはちょっと微妙な印象を受けるのでは、と感じましたが、そのギリギリまで先読みの出来ない、複雑に縺れたプロットが優秀。アクション、暴力描写の泥臭さも力強く、現代香港映画の優れた味わいを凝縮したような作品でした。都内ではそろそろ終わりそうだったために、ギリギリでこれを観ることにしたのですが、観ておいて良かった。

 劇場を出ると、書店にちょこっと寄り道をして、ふたたび新宿ピカデリーへ。……やっぱり、思っていたほどに人気がない。『バトルシップ』とか『ジョン・カーター』のような鉄板に面白い作品や味わい深い『アーティスト』に、『名探偵コナン』や『ドラえもん』だってかかっているのにー。……映画好きが高じて近ごろは、あまり立ち寄らない映画館の経営状況まで気にする変なクセがついてしまいました。

 ともかく本日2本目は、捜査官X』(Broadmedia Studios配給)。……つい10日前に試写会で観たばっかりなのに、早くも再鑑賞。東商ホールの設備では作品をきっちり味わえたとはどーしても思えなかったのです。

 2度目だと中盤のゆったりとした箇所がちょっと弛んで感じられましたが、でもやっぱり細部まで気配りの行き届いた名作だ、と再確認。序盤の描写の繊細さやアクロバティックな推理の面白さ、そしてアクションでさえドラマと共鳴している融合の見事さは逸品。そして、これは武侠版『セブン』なのだ、ということも確信しました――組み立てもそうですが、オープニングの映像やエンディング・テーマの不気味さもあれを意識しているとしか思えない――考えすぎかも知れませんが。

 というわけで、決して狙ったわけではありませんが、香港映画、しかもBroadmedia Studios配給作品2本立ての日となりました。この配給会社は、サイトの更新が遅く情報が入手しづらいのが悩みどころですが、個人的には好きな作品を拾ってきてくれるので、今後も頑張っていただきたいところ。

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