『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜 卒業式&7と1/2話スペシャル』

 瑞稀が去ってしばらくのち、バレンタイン。例によって派手にイベントを催すなか、中津は佐野がいったいいつから瑞稀を好きになったのか、に関心を示す。そういえば、夏休みの途中で瑞稀が去ることを口にしたときは、まだ意識している様子はなかったのに、9月には気のある素振りを見せていた。そのあいだ、夏休み最後の一週間に何があったのか……?

 だいぶ前から告知されていながら、たぶん主要キャストのスケジュールが押さえられなかったり何だかんだで延び延びとなり、再来週には堀北真希主演の月9が始まる、というギリギリのタイミングでようやく放送となったスペシャル版です。第1話でいきなり度胆を抜いてくれた飛行機雲のテロップに途中ではあまり使われていなかった出待ちの女子高生の絵、そしていつの間にか名物となっていた中津の妄想長尺版まで含めて、シリーズのファンが待っていたノリを冒頭から充分膨らませて繰り出してくれたので、のっけから不安なし。

 そして本篇に入ってもサービス充分です。シチュエーションから自然な流れで、中津ではなく佐野の妄想パートが入ってきたり、細かく男装がバレる危機を挿入したり、3寮長や中央も個性を存分に発揮してます。全体として見ると展開は不自然なんですが、そのぶん可能な限り楽しませようとする姿勢も好ましい――リアリティなんかを重視する人は納得いかないんでしょーけど。

 締め括りを佐野たちではなく3寮長たちの卒業式にしてみたのも、設定上は当然ながらいい判断です。区切りをつけつつも、その絆が切れたようには感じさせない。……ただ、姫島なんかは本当に卒業して良かったのか、と思わなくもないが。

 佐野がいったいいつ瑞稀を好きになったのか、という謎についての話運びも意外と巧く行っていて、本来のシリーズと並べてみても優秀な出来だったと思います。少なくとも、あの作品世界が好きで観ていた人をまったく裏切らない、良い特別編でした。

 ……で、改めて気づいたんですが、最初は堀北真希目当てで観ていたのに、正直もう彼女の出番が多かろうと少なかろうと、あんまり気にしてなかったんですな。そのくらい、このシリーズはお気に入りだった模様。それでもなお、堀北真希という女優の良さを今のところいちばんよく引き出した作品であることも変わりない。果たして『イノセント・ラヴ』は、どの程度まで堀北真希を活かせるやら。

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