なんか悔しい。

 劇場公開当時にチェックしておきながら見逃していた『アンダー・サスピション』、本日地上波初登場だったのでこの機会に鑑賞。

 ……劇場で観ておきたかったなー、これ。

 ほぼリアルタイムで進行する訊問、そのなかで幾つも浮上してくる疑惑と謎を、トリッキーな演出手法で描いていく。『24』の、というと聞こえが良く『プレデター2』の、というと頗る聞こえの悪いスティーブン・ホプキンス監督らしい癖のある、しかしスピードも備えた描き方。幾つになっても格好いい、と思っていたジーン・ハックマンが徹底的に醜態を晒しているのが逆に凄まじく、追い詰めていくモーガン・フリーマンも『セブン』の迫力を彷彿させます。どうも私の観ている範囲ではお飾りに使われることの多い現代のミューズ、モニカ・ベルッチもこの作品ではその魅力と共に人間的な鬱屈を存分に演じきってます。こんなに精彩に富んだ彼女を観るのはたぶん『マレーナ』以来ではなかろうか(って、撮影時期はほぼ一緒だった……日本での公開にかなり差があったので気づかなんだ)。『ティアーズ・オブ・ザ・サン』や『スパイ・バウンド』など彼女がメインになった作品を未見で残してしまっている私もいかんのですが。

 しかし、何だかんだいって凄いのはこのラストだと思う。卓袱台返しも同然の技ですが、あの数分間でそれまで描いてきたことの意味が逆転してしまう。それだけに肩透かしとか期待外れとか感じる人もいるでしょうし、そういう意見も解るのですが、このどうしようもない無常感こそ、捜査展開の迫力と同時にこの作品で示したかったものなのでしょう。首を傾げる人も多いでしょうからあんまり他人様に積極的には推しませんが、個人的には評価します、これ。思うにモーガン・フリーマンがアカデミー助演男優賞を獲得した『ミリオンダラー・ベイビー』の公開が間近だからこの時期に放送したのでしょうが、ちょっと儲けた気分だ。

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