『BLOOD+』episode-14 さいごの日曜日

 ベトナムから沖縄へと帰還した小夜たち。三人は父・ジョージの墓参りのあと、所在のない休日を過ごす……

 ……なんか、この数回で評価ががた落ちなんですが。せっかくベトナムにまで行っておきながら、拡げすぎた風呂敷を更に拡げて破いて帰ってきたような感じ。実はあんまり着地点のことを考えず無軌道に話を進めた結果、とうとう軌道修正不能なところに踏み込んでしまったように見えます。ミンはどうした、ムイはどうなる、ていうか結局リセはなんだったんじゃ。

 細かい描写は悪くないのです。影と光をうまく駆使した画面作りであったり、序盤の会話を思い出させる米軍機を窓の外に見るシーンなどは、長尺の作品ならではの描写です。そして、友人・香里との会話は、かつての日常から遥かに隔たってしまった小夜を象徴していて見事。が、描写が優れていればいるほど、全体のアンバランスさが際立ってしまってます。

 実のところ、今回の話じたいはそうした雰囲気のあるエピソードや描写が鏤められていて力作だと感じるのですが、しかしこれ以前の物語に纏まりを欠いたためにどうも充分な効果を得られなかったきらいがある。勿体ないなー……と思いつつエンディングのクレジットを見てちょっと納得した。脚本担当が吉田玲子……『ARIA the ANIMATION』のメインの脚本を手懸けている方だった。道理で、エピソードの組み立てや雰囲気作りは巧いわけだ。

 今回からOP・EDともにリニューアル。OPは後半に入って劣化した作画能力のまんまやっつけてしまった感じで甚だ印象が悪い。対するEDはキャラクター・デザインの箸井地図のイラストを使用する、という従来のスタイルを踏襲しているために、映像的にはいいんですが……曲のほうが聴き劣りします。中島美嘉の作りあげた世界観は嫌いではありませんが、やっぱり歌唱力という点では元ちとせには遠く及びません。

 そんな感じで、全体の構成としてはともかく、各話の脚本や場面作りには好印象を抱くことが多いので、なかなか見切りをつけるところまでは行かず。『地獄少女』はどーだか解りませんが、こちらは来週も観てしまいそうです。

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