四十代の純情を観よ。

 講習中の鈍い頭痛が治まらず、どーせ今日一日休んでいいのだからあとは寝て過ごそう、と帰宅後『笑っていいとも!』半分くらいをまったり眺めたあと横になったのですが、二時ちょい過ぎに母からの電話で起こされてしまった。雨が強くなりそうなので洗濯物を取りこんで欲しい、という話で、眠い目を擦りつつ、確かに雲行きの怪しい空を警戒してさっさと頼まれたとおりにする。

 そのまままた眠れれば良かったのですが、いったん動いてしまったためにもう横になっても眠れそうにない。三時近くなって、いま家を出れば、早めに観ておきたかった映画の夕方からの回に間に合う、と気づいてしまい、まだ頭痛に加え腹具合も微妙ななか、もはや居ても立ってもいられなくなり再度出発。電車にて渋谷へ。

 お目当てはコミケ2日目、初日の同じ時間の回に駆けつけたもののあまりの混雑にやむなく見送った待望の一本、竹中直人監督が下品だけど純情な男の想いを同名の曲にインスピレーションを受けた格好で描き出したサヨナラCOLOR』(Zazie Films・配給)。出る前に、その時点での整理券の番号を確認した感じでは充分間に合いそうだったのですが、着いてみれば相変わらずの大盛況。人の溢れようを見てすぐさま意を固め、劇場に入るなりさっさと最前列に陣取ってしまいました。振り返らなかったので不明ですが、八割方は埋まっていたんじゃないでしょうか。

 肝心の出来ですが――傑作か、と訊かれると即答していいものか迷いますが、いい映画か、或いは好きな映画か、と問われたら躊躇なく頷きます。話の構成には無駄が多いのですが、場面ひとつひとつの作りが愛おしいぐらいに美しい。もう全篇に“映画好き”のオーラが漲っていて、観ていて嬉しくなります。竹中直人がオリジナルの脚本を読んだとき即座に思い浮かべたという楽曲『サヨナラCOLOR』の作曲者である永積タカシハナレグミを中心とした面々の音楽と、竹中直人原田知世らの気取りのない演技が、ちょっと下品で本質的には深刻な物語を実に柔らかく彩っていて、観ていて心地がいい。もうひとつのお目当てだった中島みゆきの扱いも非常によく、その点も含めて大好きな作品と言い切ります。もっと浸ってたいわ、この空間。詳しい感想は明日以降、このへんにアップします

 観賞後、劇場の真下にある某あにめいとで買い物をして帰ろうかと思っていたのですが、どうも探しづらかったので何も買わずに撤退。早くも降り始めた雨のなか、急いで家に戻りました。だって、『ほん怖SP』も観たかったし。

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