1月13日に、2022年5月リリースの『心霊闇動画65』を鑑賞。コロナ禍での鬱憤を晴らすように久々に友人同士で酒を酌み交わしていた際に記録された怪事《外飲み》、デートの様子を映像に収めていたとき不気味なものと遭遇する《池の死神》、デリヘル勤めの女性の体験談から始まる前後篇《腐りゆく足》など、全6篇を収録。
新体制での2本目。今巻も取材班は積極的に出動して、撮影地でのインタビューや調査を試みてます。それだけでもやっぱり見応えは増す。
……が、やっぱしこれといったポリシーもなく、似たような異変ばかり集めてしまっているのはどうなのか。っていうか、あり得ないところに顔が写り込む映像ってそんなやたらと集まるもんか?
巻頭の《外飲み》だけは動きが意外で興味深くはありましたし、この世ならざるものが“自分を撮れ”とばかりに誘導した節すら感じる《バーのPR》はまあまあ面白かったものの、結果としての怪奇映像が似たり寄ったりなので、肩透かしの印象が拭えない。
長篇《腐りゆく足》にしてもそうで、投稿者だけでなく、調査の過程で現れた新たな関係者への取材、そこから思わぬ“呪い”の存在が浮かび上がる、といった具合で、怪奇ドキュメンタリーとして実に面白く、そして怪異のみでなく人間の怖さが滲み出てくるいい展開だったのですが、そうした調査を始めたきっかけとなる映像に記録された怪異があまりにもチャチ。ある意味、この巻全体の“肩透かし”感を如実に象徴する出来、とも言えます。
投稿された映像から取材、調査を重ねて膨らませていく、という趣旨ゆえに、現実として、異変の記録がそれしかないなら致し方ないものの、もし事態の推移が関係者の語っている通りなら、恐らく怪異は他にも記録されていてもおかしくない。取材の流れを見ても、舞台となるデリヘルの事務所には、監視カメラと思しきものが設置されているので、そちらも調べてみるべきではなかったか。ていうか、もっと気にしなきゃいけないのは、なんで異変が事務所で起きていたか、です。
とにかくこのシリーズの売りはリリースの早さで、そのなかでこれだけ取材をするようになった、というのは成長の証だとは思うのですが、結果として“惜しい”という評価をよけいに強めている気がします。何度も言ってますが、ペースを落として質の向上を目指したほうがいいと思うの――こういう路線で貫くのも信念、とは理解しながらも。
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