『警視庁三係吉敷竹史(2) 灰の迷宮』

 隣の『西遊記』は別に毎回観る必要はなさそうだし、その裏にぶつけられたことへの同情と、せっかく二作目も作ってくれたその心意気に敬意を表して、録画しつつもリアルタイムで鑑賞。

 ……こんな話だっけ? い、いや、だって私にとって初めて読んだ島田荘司作品で、二・三回読んだ覚えはありますが、いちばん最後から数えてもたぶん十年は経っている。だから印象にあるのは冒頭のバス爆破と桜島の灰に覆われた光景、そしてとある衝撃の真相だけ。

 時代設定が現代に修正され、ドラマ向けに改訂されたことでその衝撃の真相はカットされてしまった模様でやや拍子抜けしましたが、うっすらとした印象よりもずっとよく出来た作品でした。

 脚色なのか原作通りなのか、二時間サスペンスものらしいロマンスもあるにはありましたけれど、わざとらしくなく過剰にベタベタもせず、程良い匙加減で作品の渋みを殺してません。いい具合に甘みと苦みとを加えている。

はやぶさ』からいきなり随分先の作品に飛んだのに戸惑いましたが、初期のトリッキーなものよりも、人間関係と謎の入り組んだ糸を解きほぐしていく趣のあるこの話を敢えて二作目に持ってきたのは間違いではなかったように思います。吉敷と妻・通子の微妙な関係の織り込み方もいい。あの様子だと、『北の夕鶴〜』あたりまではやってみる気で伏線を張っているような印象ですが……続いてくれるといいねえ。

 それにしても、どこまで原作通りだったのかにわかに気になりだしたので、久し振りに再読してみようかしら。

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