日本ラーメン大百科、3杯目は優しいブラック。

 昨日の映画鑑賞のあと。
 わざわざ上野から電車にて新宿に移動し、今年3度目の大つけ麺博、もとい日本ラーメン大百科へ。
 いちおう予め出ている店舗はチェックしてあって、今日は私の琴線に触れるものはないかな、というのが当初の印象でした。しかし、今日出かけることに決めて、下調べをしているうちに、いちおうリストアップはしてあったお店のメニューが急速に気になって、他にそそるものがなければ直行するつもりになっていた。いちおう、ざっと各店舗を眺めましたが、やっぱしここがいちばん気になったので、今年の3杯目はこちらに決定。

福たけの九十九里煮干し濃厚BLACKつけ麺、トッピングは味玉とのり。
福たけの九十九里煮干し濃厚BLACKつけ麺、トッピングは味玉とのり。

 というわけで日本ラーメン大百科での3杯目は、千葉県千葉市から参加の福たけが提供する九十九里煮干し濃厚BLACKつけ麺、トッピングには味玉とのりを選びました。あと150円払えばチャーシュー2枚追加になるんですが、先に参加した人の写真を見たら、麺が見えないレベルの盛りで躊躇してしまったのです。
 写真からも解るとおり、まずつけ汁が濃厚。名前通り煮干しを徹底的に炊いて取ったもののようですが、そこに更に胡麻油を合わせてある。ここに太麺を浸して啜ると――ちょっと驚きの、あまり経験したことのない味わい。確かに凄まじく煮干しの風味が凝縮されているし、濃厚なので塩味も強いのですが、胡麻油がこの後味をマイルドにしている。麺を浸したときの濃厚な黒さに度胆を抜かれますし、味も強いけれど、この上なく後味がスッキリ。濃厚なつけ麺でもあまりクドくない、というのは幾つか食べた覚えがありますが、これは群を抜いている。
 有名な製麺所・浅草開化楼でも有名な麺職人の不死身カラス氏謹製という麺の存在感もなかなか強い。太いけど滑らかでモチモチ、この強烈なつけ汁に浸しても、つけ汁の味に染まりきらず、麺を啜っている充実感を演出している。また、主流の太麺よりやや細くしているのもポイント。イベント用のつけ麺のトレイは小さくて、そもそも通常の店舗より提供できる量が少ないのですが、それでも胃に重たく感じるものも多い。しかしこちらは麺も、食べ応えはありながら重たさは感じない。本当に、するすると食べられます。上にちょこっと添えられたバジルソースの、ちょっとした苦みの爽やかさも大事。
 つけ汁のなかの具材は僅かで、なかでも異彩を放つのはピンクペッパーです。数粒散らしてあるだけですが、これが噛んだ瞬間に鋭い辛さが広がって、全体の味わいが更にスッキリします。いささか辛味が強いので、苦手に思うひともあるかも知れませんが、調味料の供給が難しいイベントに出す料理としてはいい工夫だと思う。
 更に、麺の上に乗せられた肉味噌です。それ単体で口に運んでも、トロリとした肉の風味がいい変化を加えるのですが、つけ汁に溶かすと、それまでとはまた違ったコクが生まれる。今回、こちらの店舗ではスープ割りを提供していないのですが、この肉味噌をすべて溶かしたあとのつけ汁をそのまんま棄ててしまうのは惜しくて、麺を食べたあとはそのまんま啜ってしまった……やっぱり濃厚ゆえにしょっぱいんだけどクドさがなく、危うくぜんぶ飲んでしまいそうでした。いちおう気持ち控えたけど、たぶん飲み切れた。
 トッピングの味玉とのりは、いずれも定番のもの。こちらも控えめに味付けしたゆで玉子は、やはりつけ汁に合うんですが、私の大好きな海苔は……このつけ麺の場合、ちょっと邪魔だったかも知れない。いや、味が合わないわけじゃないのですが、いくらあとを引かないと言っても濃厚なつけ汁ゆえ、こうもしっかりした海苔だと、浸しても柔らかくならず、口に入れにくい。折り畳んで口に運んでも、噛み切っても口許に濃い汁がついてしまう。移動に電車を使っていたため、マスクをつけてましたから、多少口許が汚れたところで私は大して問題はないんですが、化粧にこだわる方は要注意。海苔の材質とかサイズは検討の余地があったのではなかろうか。
 しかし全体としては、あまり前例のない仕上がりの極めてハイレベルなつけ麺。あまりにもスッキリしすぎて、つけ麺によくある、あとあとまで口のなかに味わいが蘇る感じがないのが物足りない、とも言えますが、そのぶん量は食べられるし、中毒性も高い。実際、もし機会があるならまた食べたいくらいです……出店期間中にまた来るのも一手ではあるんですけどね……。

福たけブース入口に掲示された商品案内。
福たけブース入口に掲示された商品案内。

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