昔からしばしば、「このCM観て、このサービス利用する気になるのか?」と首を傾げたくなるCMというのがあります。
だいぶ前から、私にとってのその代表格はビズリーチです。
あれを観るたびに、公然と「私たちは容赦なくヘッドハンティングします」という宣言に思えてしまう。単純に、職場が合わない、というひとが、選択肢を広げるために利用することを薦めるのならまだしも、企業向けに、有用な人材をたくさん用意してます、と訴えるのはいまいち理解出来ない。ビズリーチを利用しているひとはいつ他社に引き抜かれるのかも解らんのだぞ。終身雇用はもう過去の話、とは言い条、ここまで雇用と保護を軽視した視点のCMがずーっと罷り通っているのが不思議で仕方ない。
そして目下、いちばん不信感を抱いているCMが、トリバゴです。
宿泊施設の料金は、経由するサービスによって微妙に異なる。その料金をリストアップし、より安い価格で案内出来る、というサービス内容も……まあ、色々と思うところはあるけれど、そこまではいいとしよう。
問題は、CM内に登場するホテルの受付です。同時に訪れた客に、宿泊費が表示された画面を提示するのですが、それで若いカップルが、年輩のカップルよりも費用が高いことに気づき、「何割(引き)?」と訊ねると、年輩のカップルの女性が「トリバゴよ」と応える、という流れになる。
どう考えても、このホテルが酷い。少なくとも、若いカップルは、仮にトリバゴでこのホテルのプランを提示したとしても選ばないと思う。
利用したサービスや、適用した割引によって価格が異なるのは仕方のないことではある。ただ、それでも宿泊客に快く利用してもらうなら、他の人より損をしている、という意識を宿泊客に持たせるのは、サービス業失格です。ホテルがこういう軽率なことをしている、と示唆するCMって、宿泊施設側からするとだいぶ有害です。そして、その可能性に気づいた宿泊客も、トリバゴというサービスに警戒してしまう。
実はビズリーチもトリバゴも、システムとしては仲介する立場なのに、CMのなかでその領分を超えて干渉するような内容になってるのが問題なのだと思う。ビズリーチなら求職者と採用企業という相互の利用者がいて、トリバゴには宿泊客と宿泊施設を橋渡しするポジションで利益を上げている。が、その一方を無自覚に貶めている内容であるのが無茶苦茶引っかかるし、私に不信感を抱かせているのです。少なくとも私はどっちも利用したくない、と心底思ってます。実際のサービスがどれほど利用者に寄り添っているとしても。
本当に、なんであの内容で延々流してるんだろう……。
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