時代と愛に翻弄された英雄。

 今年も残すところあと10日。年に映画館で3桁以上の作品を鑑賞する、というのを目標に掲げていますが、毎月末の作業漬けと、11月の風邪引きが影響して、今年はかなりギリギリです。この10日であと4本観ねば100本に達しません……いけなくはないけれど、そのぶん作業もキビキビ進めねばならないので、なかなか大変です。
 ともあれ、今日はまだ気分的にもペース的にも余裕があるので、朝から出かけてきました。
 行き先は、TOHOシネマズ新宿……先月をしおにしばらくお見限りになるかと思いきや、スケジュールをあれこれ模索していたら、結局ここが最適解だったのです。日本海側は荒天の模様ですが、こちらは乾燥が怖くなる晴れ続きゆえ、今回も移動はバイクを使用。
 鑑賞したのは、リドリー・スコット監督がホアキン・フェニックスを主演に招き、フランス革命が生んだ“英雄”の実像に迫った歴史スペクタクルナポレオン(2023・字幕)』(Sony Pictures Entertainment配給)
 これも観ておきたかった作品のひとつ。リドリー・スコット監督の映画は作り込まれたヴィジュアルを大スクリーンで鑑賞してこそ、と思っているので、新作はなるべく映画館で観るようにしてるのです。観逃してるものもありますし、本篇もAppleが権利を確保していたので、配信メインになる可能性もありましたが、最近の流れを受けて劇場公開へと舵を切ってくれたのです。
 本篇もスコット監督らしい緻密に構築されたヴィジュアルと、圧倒的な迫力で描かれる戦闘シーンに見応えのある作品でしたが、物語としては少々、散漫とした印象が残る。
 ナポレオンを英雄としても、多くの犠牲を強いた暴君としても扱わず、才能がありながらも時代と運命に振り回された男として描いていることが着眼だ、と思うのですが、離縁しながらも愛情を注いできたジョセフィーヌとの関係を軸にしたいのか、英雄とも破壊者とも、ただ利用されていただけとも言える指導者としての像を軸にしたいのか、いまいち判然とせず印象がぼやけている。恐らく、どちらにも偏りたくなかったからこその脚本だと思いますが、なまじ語るべき部分が多すぎるがゆえに、処理しきれなかったのかも知れません。
 しかし、ホアキン・フェニックスのナポレオンは素晴らしかった。ある種のカリスマ性と同時に、弱さ、卑屈さも随所に覗かせ、数多の戦争と政変で彩られたその生き様に人間的な説得力をもたらしている。ナポレオンにとっての女神であり、捉えどころのない魅力を放った妻ジョセフィーヌの人物像も印象的。
 北米ではヒットしつつも微妙な評価になっている本篇ですが、監督主演いずれも一流だからこその見応えは充分にある。実はきょう、私自身の調子がいまいちで、しんどかったら帰ろうかな、ぐらいに考えてましたが、けっきょく約2時間40分しっかり堪能してしまった。

 当初は、先日混雑していて断念した麵屋海神に立ち寄って昼食を摂るつもりでしたが、前述の通り体調がいまいちなので今回も諦め、ひとまずまっすぐ帰宅。母も所用で出かけていたので、帰宅後に最寄りのコンビニで軽い食事を買って済ませました……食欲自体はあったのよね。

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