本当に、望んでいない結末だった……。[レンタルDVD鑑賞日記その837]

ほんとにあった!呪いのビデオ104(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 意外にも、前巻を返したらすぐ送られてきました。1月25日に、2023年10月リリースの『ほんとにあった!呪いのビデオ104』を鑑賞。大学の学園祭での演し物でオペラを演奏する様子を記録した古い映像に異常な現象が起きる《発表会》、102巻に収録された映像についての投書を元に追加調査を実施した《続・海を歩く足》、投稿者の妻に起きた怪異の源泉を辿る連作の最終章《終・鬼女の山》など、全8篇を収録。
 一緒に他の怪奇ドキュメンタリーも借りてしまうと、何だかんだ言ってここは平均点が高いのを改めて実感してしまう。未だに、対抗しうるのは《呪われた心霊動画 XXX》か、《呪いの黙示録》ぐらいしかないものなー。
《発表会》など単品も概ねクオリティは高いですが、今回は102巻で採り上げたエピソードに続報があるのがちょっと目新しい……まあ実のところ、初期からそういう展開はときどきあったのですが、たいていは2回、せいぜい3回どまりで、そのあとは投げっぱなしになる傾向にある。このシリーズはしばしばスタッフが入れ替わるため、そのなかで過去の調査が引き継がれなかったり、そもそも進展がなくて放置される、といったパターンなのでしょうが、いずれにせよ、最近はちょっとなかった成り行き。しかも視聴者からの投書(メールではなく!)で提起される、反応の早さも出色。話としては、関係すると思しい動画がネットに存在しました、でもまだなんか変だよ、と仄めかしているだけですが、果たして更なる続篇に繋がっていくのか。
 そして目玉の《終・鬼女の山》ですが……まあ、これも長篇にありがちな、過程は面白いけど終わりはモヤッとする成り行き。前巻の予告通り、誰も望んでいなかった種類の終わり方はホラー、それも現実に寄り添った怪奇ドキュメンタリーとしては正しいのですが、据わりの悪さは如何ともしがたい。悲しい出来事もあったものの、いちおう発端となる出来事は一段落しているので、受け入れざるを得ない。
 しかし、展開はやはり面白い。原点に立ち戻り、投稿者の妻を襲う怪異に着眼し、そこからふたたび、すべての発端と思われる“ミヤ”という人物の追跡を再開する。そこから陸続とスタッフの前に現れる怪異。取材で登場した要素が次々とよぎって、更にスタッフをおびやかし、観るものを迷宮に誘い込む。
 なにせこの長篇、題材ゆえに、本当に黒幕を炙り出してしまうと、けっこう血腥い事態になることも想像出来る。そこまで行くのは、あくまで怪奇ドキュメンタリーの取材であり、常識を逸脱した出来事に悩まされる人物をひとり救いたい、という当初の目的からも逸脱する。ゆえに、リアルであろうとフェイクであろうと、これは致し方のない着地でしょう。たとえもどかしく感じても。
 恐らくは102巻から今巻までの連作は、若干中村義洋構成&演出による『ほんとにあった!呪いのビデオ100』と製作期間はやや被っていたはずで、負荷の大きさを思えば、これが精一杯なのかも。スタッフの健闘を称えたい――そして、仮に《鬼女の山》連作の続篇があるとしても、当初の投稿者とご家族には累が及ばないことを祈りたい。

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