爆笑問題withタイタンシネマライブ#89 at TOHOシネマズ日比谷。

 6月14日の映画鑑賞のあと。
 先の映画との間隔は僅かに15分。特典を受け取る必要があるので、どのみちロビーに戻って、もぎりを通過しなければなりませんが、それでも非常に理想的な時間割です。空腹の対策として、先の映画を観る前に、いつもは買わないポップコーンセットを確保して、まだ余らせてある。これでたぶん何とかなる。

 オープニングは、キュウ第9回単独公演『Q』のCM。やたら“キュウ”だらけなのを自らイジる、半分ネタみたいな映像。
 トップバッターは、最近定位置となりつつあるしびれグラムサム。特徴的なツッコミそれ自体をネタにするようになって、クオリティが上がってきた気がします。帰省のときに食べるご飯、というテーマで、うまくオチまで繋げてる。2番手は恐らくシネマライブ本篇には初登場のジャンボタニシ。タイタンでは珍しい男女ユニットという特徴を活かした告白ネタで、ひねりはいい。出来れば着地ももうちょっと綺麗なら良かったのですが、ふわっと終わってしまったのが残念。仕掛け方は好きです。続いては鎌――エンディングトークの紹介を聞いたら、どうも“れん”と読むらしいピン芸人。こちらもコント師がよく利用する、映画『卒業』お馴染みのシチュエーションをいじったものですが、この着眼点はいい。確かにこれはヤバい奴です。出来ればオチの伏線がもうひとつあるか、そのインパクトを鮮やかにする流れが欲しかった。
 お次は事務所のベテラン、ネコニスズ。すっかり気持ち悪いキャラに収まった舘野が、ずーっと気持ち悪い絡み方をします。観ているほうも笑いつつ苛々しているので、ヤマゲンの暴発が効いてきます。続いては春とヒコーキ。このコンビは現代的な題材をうまく作品に盛り込むのが巧い。今回も、宗教にハマる家族、というややセンシティヴな設定に、現代的な要素を加えて笑いに昇華してます。6番手はまんじゅう大帝国。しりとりの必勝法がある、と言いながら巧くいかない、というのは予想がついてましたが、そこからの跳躍が素晴らしい。このコンビはもうちょっと売れてほしいなあ。
 7番手は脳みそ夫。今回は《ラーメンヤンキーすすり》だそうです。一時期、映像を使って新しい段階に入ったような気がしたんですが、すっかり前の芸風に戻ってます。ここ以外では受けてなかったかな。しかし今回のラーメン縛りは、ワードが身近で、そこまで深さが必要ないからか、いつもより受けがいい気がしました。続いてはOPにも登場のキュウ。個人的には彼らのネタは大好きです。今回も、序盤は「何を言ってんだ?」という間隔にさせておいて、観客にルールを浸透させたあとの畳みかけが素晴らしい。最終的にどっちがボケなのか解らないのもいい。9組目はシティホテル3号室。直木賞ならぬ青木賞の結果を待つ作家、というシチュエーションのコント。急転直下の意外性と、止めどなく溢れ出てくるヤバさが楽しい。このコンビ、シネマライブでず~っと観てますが、どんどん世界観がブラッシュアップされてきた。そろそろ弾けないかな。
 ここで本日最初のゲスト、ストレッチーズ登場。FXを始めようと思う、というボケの言葉から、話がちょっと意外な方向へと転がっていく。これも、仕組みが観客に伝わってから、なおもボケ続ける一方、ツッコミ側が巧みにひねってきて、緩急が心地好い。爆発力のあるネタでした。
 ふた組目のゲストはラブレターズ。海を眺めるベリーショートの女性に絡んでくるカタコトのナンパ師、というところからまっっったく予測できない方向に話が進んでいきます。序盤2何これ、と思った要素にちゃんと仕掛けがあって、終わってみたら「大笑いしつつ「何だコイツら」とツッコみたくなる、実に振り幅の大きいネタ。エンディングのトークによれば、裏でタイタンの太田光代社長が大受けしていた、というのも宜なるかな。
 ここでいったんタイタンに戻り、M-1王者ウエストランド登壇。当然のように出だしでは、前回のシネマライブ直後にやらかした河本をイジります。会場は受けてたけど、裏でラブレターズでの笑いを引きずっていた光代社長は一瞬で真顔に戻ったそうな。本筋は、最近世の中が便利になった、と言うけれど実際にはそうでもない、というのを井口が悪口雑言でこき下ろします。ネタとしても笑えるんですが、個人的には常々思っていたことと重なるので、いちいち頷いてました。セルフレジは客側のメリット少ないよね絶対に。
 3組目のゲストはM-1ファイナリストのさや香です。ウエストランド優勝時に似た香盤にしたのはたぶん意図的。最近、やたら喧嘩ばっかりしていることをテレビでネタにされているせいか、その要素も入ってますが、基本的にはよく練られた完成度の高いネタ。いちおう、大きな柱は把握出来るんですけど、細かいところでどういうボケやツッコミ、すかしを入れていたのか、あんまり覚えてません。ちゃんと笑ってたのに。それこそ、漫才としての仕上がりの高さとも言える。
 最後のゲスト……という気にもなれない実質レギュラーのBOOMER&プリンプリンは、西遊記をもとにしたネタ。と言っても、土台が堺正章が演じていた頃のモノだったり、昭和世代の芸能、歌謡を鏤めたり、挙句はタイタンから止められているのに観客イジりをしたり、と観戦にいつもの東洋館ネタ。直後に太田さんが呟いていたとおり、よくもまあこれを、さや香の練度の高いネタのあとにかけたと思う……シネマライブのお約束ではあるけれど。
 そして大トリはいつも通り爆笑問題。さや香やBOOMER&プリンプリンがさんざん「時間がない」と言っていたツケがちゃんとここに来たようで、心なしか駆け足でしたが、ちゃんとまとまっている。水原一平元通訳の現状や大谷翔平の豪邸の話、名探偵コナンなどのヒット映画に都の実施するマッチングアプリ、そしてディズニーの新エリアまで細かく時事ネタを網羅する一方、2箇所ぐらいひたすら妄想を転がしていくくだりがあった。確か前にもこんなところがあって、少しトーンを変えてきているのかも知れません。やりすぎると光代社長に怒られるしね。
 エンディングトークも若干駆け足、と思いきや、それはそれなりにゴチャゴチャして楽しかった。インパクトが強かったのは、観客全員に配布されるタイタン情報誌で、シティホテル3号室の紹介のところに、キングオブコント2023“準優勝”というありもしない事実が書かれていた(実際には準決勝進出)ことと、ラブレターズがこのエンディングに突如として厚底靴を履いてきたこと。前に、ふたりとも小柄であることを揶揄されて、揃えるために履いてきたそうですが、最終的に田中さんが履いて、経験のない眺望を楽しんでました。時間がないのに盛り上がりすぎたお陰で、いちばん最後に呼ばれるBOOMER&プリンプリンは喋る時間がなくて喚いてました。

 次回は8月23日。夏も終わり頃……と言っても、近年は残暑が厳しいので、たぶん夏休みが終わり近い、というだけでしょう。なんとなく、街裏ぴんくあたりが出てくるのではなかろうか、といま思ってます。

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