『嘘解きレトリック 第6話』

 今回は《手鏡の謎》篇。先の誘拐事件で出会って以来、祝左右馬に心酔している令嬢・藤島千代が人とぶつかった際、見知らぬ手鏡が千代の荷物に紛れ込んだ。鹿乃子は気乗りのしない左右馬を放っておいて、千代とともに手鏡の持ち主を探す。
 原作では《人形殺人事件》より前、鹿乃子が自らの力の性質を知り、より深く向き合い始めるきっかけになるエピソードです。
 短いエピソードなんですが、鹿乃子の過去に深く踏み込んでいる、という点でも重要性が高い。さすが、原作リスペクトの強いスタッフだけあって、ドラマ1回そっくりあてがってきました。
 ミステリ、と言うほどの謎はないけれど、鹿乃子の能力が如何に中途半端で、それ故に彼女にとってどれほど重荷になっているのか、が伝わる。なまじ、嘘が聞き分けられるが故に陥る勘違い、それが人を傷つけかねない事実をふたたび思い知って打ちのめされる。そして、序盤はいまいち出番のない左右馬が、彼らしい外連味のある物言いで鹿乃子の“呪縛”をほぐしていく。
 原作でも鹿乃子のまっすぐな心情と、左右馬のひねくれた気遣いが沁みるエピソードでしたが、これを非常にじっくりと描いて、より胸に迫るものにしています。あの、思わずギュッと行ってしまう瞬間を、どーしても丁寧に見せたかったんでしょうね。
 順番を変えたことで、鹿乃子のどうしても変えられない一面がより強調されるとともに、左右馬がそれを肯定して受け入れていることが更に実感的になった。本当に、感心するほどに原作に誠実で、愛情の窺える、いい映像化です。
 しかし、ここで改めて気になってくるのは、最終回がどうなるのか、です。このペースでは確実に1クールでは原作どおりのラストは遙かに遠いので、終盤を大幅に書き換えたオリジナルにするか、原作中盤あたりのエピソードをラストに持ってきて、続きはシーズン2に託すか、のいずれかになるはず。気になるのは後者、ラストのエピソードにどれを持ってくるか、という点。出来れば、あんまり続篇に色気を見せず、ここで終わっても仕方ないかな、というところで終わって欲しいんですが、どうなることやら。
 次回は《幽霊屋敷》篇。これも本来、《人形殺人事件》より前のエピソードであり、これも実は映像化して欲しかった奴だったり。しっかりとしたミステリで、ロマンスもあるでよ。

嘘解きレトリック - フジテレビ
嘘解きレトリック - オフィシャルサイト。毎週月曜よる9時放送。鈴鹿央士、松本穂香

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