のし上がった先に、何がある?

 一昨日までしんどい戦いを繰り広げていたため、プログラム切替直後の月曜日を定日にしている(と言えるほど月曜日に縛られてないけど)午前十時の映画祭14は今日までお預けにしてました。
 というわけで、朝からTOHOシネマズ日本橋へ。鑑賞したのは、ブライアン・デ・パルマ監督がアル・パチーノを主演にキューバからアメリカに移住し、汚れ仕事でのし上がった男が、富を手にしながらも破滅していくさまを描いた『スカーフェイス』(ユニバーサル・ピクチャーズ初公開時配給)
 だいぶ映像表現が激しくなったいま観てもなお、かなり壮絶なピカレスクです。大量の移民を一時的に収容するコロニーでの暗殺、最初の取引の壮絶な修羅場など、序盤から雑多で混沌とした世界での犯罪を描き、観客の心を掴んでしまう。仕事を得る相手であっても物怖じせず臨み、信頼を得ながらも決して誰に対しても全幅の信頼を置かない、という主人公トニーの信念は、確実に彼がのし上がっていくのを助ける一方、のし上がるほどに誰にも頼ることの出来ない状態に陥っていく。
 3時間近い尺を、トニーという人物の一代記でほぼ埋めていますが、それだけの魅力がある。人殺しを厭わない悪党で、相手が大物でも、窮地にあっても自信を失わない。それが彼を助ける一方、最後には追いつめられる理由になる、という皮肉。清々しいほどの悪党ぶりは格好良くもあるのですが、しかし終盤は憐れでもある。
 ブライアン・デ・パルマはこだわりのあるヴィジュアルも見所ですが、本篇も随所で魅せられます。とりわけクライマックスの銃撃戦は圧巻。はじめから結果は明白なのに、主人公トニーのキャラクター性と混沌に陥った物語の終焉に見せるクレイジーな迫力は圧巻。残酷だけど、既にもういっかい観たくなってます。
 個人的にはやっぱり『アンタッチャブル(1987)』のほうが好きですが、あの境地に繋がっていく激しさ、作家性の強さをはっきりと感じさせる1本。

 鑑賞後はまたしても日本橋ふくしま館へ。このところ、飲食エリアに出店するラーメン店は同じところが多く、老麺まるや以外は他に選択肢がない場合とか、新しいメニューが出ているときに立ち寄るくらいでしたが、今回は私がまだお目にかかったことのないお店だったので、はじめから立ち寄るつもりでいました。とっても好みの味で、満足して退店。詳細については、別記事にまとめます。
 当初の予定では、きのう手違いで処方されていなかった風邪薬などのストック分を出してもらうため、クリニックに処方箋を引き取りに寄り道するはずだったのですが、どうも朝からお腹の調子が悪い。実は『スカーフェイス』のわりと序盤でいちどトイレに立ちましたし、映画鑑賞のあとにも用を足したのに、食後になってふたたび危険な気配を漂わせている。寄り道していると、惨劇になりそうだったので、まっすぐ帰宅しました。

TOHOシネマズ日本橋、エレベーター向かいの壁に掲示された『スカーフェイス』上映当時の午前十時の映画祭14案内ポスター。
TOHOシネマズ日本橋、エレベーター向かいの壁に掲示された『スカーフェイス』上映当時の午前十時の映画祭14案内ポスター。

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