『ばけばけ』感想&うんちく日誌、その13。(放送第14回・第15回)

ばけばけ
【NHK朝ドラ公式】連続テレビ小説「ばけばけ」。主演は髙石あかり。キャスト相関図・見逃し配信・あらすじ・放送予定など。小泉セツ&八雲(ラフカディオ・ハーン)夫妻がモデルの物語。明治の松江。怪談を愛する夫婦の何気ない日常を描きます。【作】ふじ...

 第15回放送の昨日は、朝があまりにもバタバタしていて鑑賞する暇がなかったため、翌日、録画にてきちんと観てから書きました。当然である。

 遂にトキが真実を知る日……と言いつつ、実は本人も気づいていた、という展開。
 そりゃあ、ときどきあんなにぼろが出てるし、勘右衛門の呼び方、雨清水夫妻のトキへの思いやりとか、当人にしてみれば察しがつくのは当然です。出生の秘密、なんてほどのことではなく、家名を重んじる武家社会では、子の出来ない親戚に養子に出すことはさほど珍しい話でもなく、トキにしてもそこまで意外ではなかったでしょう。
 しかし、そういうことを踏まえたうえで、病魔により息も絶え絶えの傳が口にした言葉は、あまりにも胸を打ちます。トキを愛していればこそ、そして彼女に“親”として愛情を注いだ松野司之介・フミへの敬意があればこそ出てくる、これも彼の“親”としての愛情。なまじ直前で、上の子よりも気をかけなかった三之丞の苦悩を聞いていればこそ、余計にこう言わざるを得なかったのでしょう――それを解っていても、三之丞の胸中はなおも複雑でしょうけれど。
 そのあとのトキが見せた節度のある、そして心の底からの取り乱し方も素晴らしい。しみじみとしながらも松野家らしいユーモアと優しさに満ちたやり取りのあと野、あの姿。序盤のハイライトとも言える、あまりにも胸に響く回でした……リアルタイムで集中して観られなかったのがちょっと悔しい。

 なお、雨清水傳のモデルとなった小泉セツの実父・小泉弥右衛門湊も、セツが婿を取った翌年に亡くなっています。ドラマで描かれたとおり、生計を立てるべく織物工場を営みます。最初は順調だったものの、やはり慣れぬ商売と、機運についていけなかったのか、経営は傾いてしまう。
 ただし、このときの苦労は同時に、しばらくのあいだセツと家族を助けることにもなる――というのは、またドラマで描かれると思うので、詳しくはいずれ。

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