1日開けて、またしても映画鑑賞です。観たいものが溜まってる、というのもありますが、今日はお題が2つあるのだ。
赴いたのはTOHOシネマズ新宿――もう大つけ麺博終わったんじゃないんか、と思われるかも知れませんが、1日開けて、同じ大久保公園にて次なるラーメンイベントがあるのです。こちらはそこまで熱心に通うつもりはない、というか、会期が短いので、とりあえず1回だけ行っておこうか、という感覚。どちらにしても、日比谷とかから来るよりは、近場で映画を観てから訪ねるのが無難というもの。
移動は、だいぶ迷いましたが、ふたたびバイクにしました。前夜に天気予報を確認した時点では、お昼頃から雨の可能性が示唆されていたので、電車にするつもりだったのですが、いざ朝になってみたらそこまでどんよりと曇ってはいないし、天気予報も今日いっぱいは保ちそうな内容になっていた。それでも降らないとは言えないけれど、やっぱりバイクで移動するほうが気分はいいし。
鑑賞したのは、午前十時の映画祭15上映作品、同時代の天才モーツァルトへの嫉妬から、その失墜を画策したサリエリの告白を描く『アマデウス【4Kレストア版】』(松竹富士初公開時配給)。この映画祭では3回目の上映のはずですが、前2回は2時間を超えるディレクターズ・カット版だったのに対し、今回は2時間40分しか本篇尺がないので恐らく初公開時のオリジナル尺。この体裁で観るのは初めて……だけど、前に観たのが9年前なので、どこがカットされてたのか、とかは解りません。
誰もが知る音楽家モーツァルトと、同時代に生きながら本篇公開時にはほとんど埋もれていたサリエリが、嫉妬からモーツァルトを亡き者にしようと考える。直接手を下さず、自らの立場を利用して、モーツァルトが高給を得られないよう仕組み追い込むさまを非常にドラマチックに描いています。
公開当時は苦情があったくらいに、モーツァルトの人物描写がだいぶエキセントリックなのですが、記録に残るエピソードからもモーツァルトの問題児っぷりは窺えるので、解釈としては充分に面白い。そして、それに嫉妬するサリエリの行動も、地位のある者ならあり得たものでしょう。
この作品の深いところは、そうして追い込むさまを描きつつ、サリエリが本当はモーツァルトの音楽を理解し認めていたことも窺えること。特に終盤の展開は、ある意味でサリエリがモーツァルトに取り憑かれているとも取れ、業の深さがほの見える。コスチューム劇として衣裳、美術は繊細に作られているとは言え、スペクタクルな見せ場があるわけでもないのに惹きつけられるのは、その心理的ドラマが俳優陣の演技によって凄まじい牽引力を発揮しているからでしょう。
そうして見せるサリエリ終幕の振る舞いは、才能というものに翻弄される人間の哀しさが凝縮されている。言い知れぬ余韻が残る、圧巻のドラマです――で、どの辺がディレクターズカットで追加されたのか、はやっぱり何も解りませんでした。うっすら、足りないシーンがあった気はするんだけど。
鑑賞後は予定通り、先日まで大つけ麺博が実施されていた大久保公園へ。入れ替わりで始まったのは、日本ご当地ラーメン総選挙。東京ラーメンショーと大つけ麺博のコラボで、予選を勝ち抜いた各地方のご当地ラーメンが8種集結、投票によって、最高の1杯を決める、というもの。
……そもそも、客ごとの好みがあるうえに、26日から30日という短い会期で全点食して比較する、なんて芸当が誰にも出来るわけではなく、結局は第一印象と、どれだけ購買意欲を誘うか、の戦いになってしまう気はしますが、まあ一種のお祭なのでそれも良し。
私にとってラーメン好きの原点が佐野ラーメンで、このイベントでは前も佐野ラーメンを食べていましたから、今回もそのつもりで脚を運んだのですが――思案の結果、福島県の白河ラーメンにしました。ふくしま館でしょっちゅう喜多方ラーメンは食べてますが、白河ラーメンはあまり来ていないので、試してみたくなったのです。
詳しい感想は例によってまた後日。こちらも私好みでした。
しかしあまり落ち着いて食べていられなかったのは、大久保公園に移動するあいだに、雲行きが怪しくなってきたから。既にバイクで来てますから、雨が降ろうがバイクで帰らないわけにはいかない、けれどやっぱり濡れずに帰りたい。腹具合もちょっと怪しかったのですが、トイレのために寄り道したりせず、急いで駐車場に戻り、安全を保ちつつも可能な限り速やかに家に帰りました。雨雲もお腹も決壊しなくてよかった……。

TOHOシネマズ新宿、スクリーン3入口手前に掲示された『アマデウス【4Kレストア版】』上映時の午前十時の映画祭15案内ポスター。


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