
錦織さんが拗ねてる一方、遂にヘブンさんが“怪談”を知り、トキとの距離がぐっと近づく、の巻。
放送開始から2ヶ月半を経てやっと、やぁぁぁっと、怪談というコミュニケーションが始まりました。長かったなあ。
きっかけとして、大雄寺の住職自らが語る《飴を買う女》だったのがちょっと驚きです――それをまるで本職そのものの伊武雅刀が語っているのは眼福でありました。
私が大雄寺を訪ねたのは2度目の松江旅行の際で、既に8年経っておりますが、ここもドラマでは別のところを使っていたと思われます――“思われます”と曖昧なのは、本堂の佇まいはそこまで違っていなかったから。訪問当時、たまたまご住職の手が空いていたので、本堂に上がらせていただいた覚えがあるのです。
ただし、墓地はあんな感じではない。本堂そばの壁に囲われたところにあるので、あんなに苔生した印象ではありませんでした……とは言うものの、こちらは定かではありません。他にも墓所があるかも知れないし。いずれにしても、お墓はそれぞれの家の方がお詣りするものなので、探訪するときは敬意を払いましょう。
今週のくだりで感動したのは、最初からトキの備えた“語り”の技術が発揮される一方、学習、成長の過程が早くも描かれていること。実際のヘルンさんも、セツ自身の理解と言葉で語ってもらうために、直接本を読まないように頼んでいたそうですし、話を飲み込むまで繰り返し語ってもらったといいます。一方でセツも、ヘルンさんの要求に応えるべく、話の蒐集や理解に努めていたそうで、ドラマのトキのように、大雄寺の住職をふたたび訪ねる、という過程を踏んでいても不思議ではない。相変わらず、とてもいい処理の仕方だと思います。
ヘブンさんの登場で、時代の過酷さの表現もこのところは抑え加減でしたが、救いであった松野家の楽しさは相変わらず。フミさんの操り人形と化す司之介さんのくだりは最高でしたが、今回は60話の花田旅館のひと幕も素敵でした。本質にはまったく関係ないけど、トキの昂揚ぷりがよく解る。そして、ずっと“しじみさん”だったヘブンさんからの呼び方が“おトキ師匠”、名前に変わったことも印象的。
いよいよいい感じになったこのタイミングで、まさかの銀二郎再登場に、とうとう遠方の“あの人”登場らしきことも予告で示唆されて、来週はまたぞろ恋の嵐が吹き荒れそうです。たぶん年内の放送は来週で終わりと思われますので、関係がまとまるなら、いい節目ではなかろうか。年越しで引っ張るのもアリだけど、主題歌を担当するハンバートハンバートの紅白出演に、トキとヘブンが参加する、なんて演出があるなら、まとまってた方が――いや、そうでなくても問題ないんだけどさ。


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