2025年春期アニメまとめ。

 鑑賞していた2025年春期のアニメ、ひととおり終了致しました。すぐさま言及した『アポカリプスホテル』以外のタイトルについて、思いついた順にざっと触れていきます。

TVアニメ『完璧すぎて可愛げがないと婚約破棄された聖女は隣国に売られる』公式サイト
完璧すぎて可愛げがないと婚約破棄された聖女は隣国に売られる 笑わない聖女が売られた先で心を開き笑顔を咲かせる奇跡のファンタジー、TVアニメ化!2025年放送開始!

 あんまし触れていませんが、こういうのも観てたりする。女性向けのライトノベル原作の漫画をときどき読んでて、しかも妙に追放ものが引っかかってくるから、明らかに同系統と思しいこれを何となく観始めてしまった。
 この作品がちょっと特異なのは、ヒロインがかつて属していた家庭や共同体が概ねヒドい奴ばかりなのに、追放される聖女フィリアの妹ミアが姉を敬愛していて、しかもまともだ、ということ。最初こそ姉が去った意味が解らないけれど、姉の元婚約者である第2王子やその取り巻き、何よりミア自身の両親が姉を疎み追いやった、という事実に憤り、かつての姉の立場に収まりながら復讐を目論む、という筋書きがいい。
 そのまんまだとミアが主人公になっちゃうところへ、より大きな災厄を設定することで、ちゃんとフィリア側の物語も構築している。追放もののお定まりである展開や終盤の爽快感をきちんと押さえつつ、穏やかなカタルシスに繋げていて、なかなか楽しめました。原作はどうやらまだまだ続いているようですが、アニメとしてはここで終わっても綺麗だと思う。

アニメ『忍者と殺し屋のふたりぐらし』公式サイト
コミック電撃だいおうじで好評連載中の人気漫画がアニメ化!忍者と殺し屋のアブナイふたりぐらしがはじまる——!

 弾みで里を飛び出し追われる身となった忍者・草隠さとこと、見た目はクールな女子高生だけど実はそれなりに凄腕の殺し屋・古賀このはが、ひょんなことから出会い、同居を始める、というやたら物騒な導入で、しっかり人が死にまくるけどコメディ、という、なかなか攻めた代物。このはを演じる花澤香菜がラジオで、「でもラストで泣ける」と言っていたのに興味を惹かれてチェックしてました。
 このはのドライさとさとこの純粋だけど妙に現実に無頓着なところが噛み合い、陸続と現れる里の刺客たちを呆気なく始末してしまうブラックな笑いの一方で、独特の情緒が随所から滲み出てくるのがとても好きでしたが、確かに終盤はちょっとぐっと来る。観てみたら、おおむね約束された展開とも言えるレド、だからこその快さがあります。
 制作がシャフト、監督が宮本幸裕、という組み合わせならではの映像演出と、個人的には唸らされるテンポの良さで、アニメーションのクオリティとしても素晴らしかった。

TVアニメ「mono」公式サイト
「まんがタイムきららキャラット」にて連載中の、人気4コマ漫画「mono」TVアニメ2025年4月放送開始!

『ゆるキャン△』からの流れで原作を読み、『ゆるキャン△』で確立した取材を巧みに反映させた作風と、『ゆるキャン△』の作品世界を虚実曖昧にするようなかたちで絡めていく趣向が好きだったので、それを更にアニメにする、と言われれば観ないわけにはいかない。
 原作はコマあたりの情報量が多すぎてタブレットでは読みづらい、という欠点がありましたが、アニメにすることでその辺が整理され、キャラの魅力やエピソードの面白さをうまく際立たせている。
 特に評価したいのは、エピソードの再配列の巧さです。原作ではもっと迂路に出てくるエピソードを早めに出して、そのまんまだと出てこなかったかも知れないイスズをアニメに登場させたり、クロクマ先生の出番をうまく調整してオカルトエピソードが渋滞するのも回避する一方で、原作ではごく僅かに触れているだけの雨宮さつきたちが1年生の頃のエピソードを膨らませ、写真部に所属するモチベーションを失ったさつきが撮影を楽しむようになる過程をワンクールのドラマとして昇華させている。
 そのために、最終回に持ってきたのが、個人的に大好きな映画撮影のエピソードだったのも嬉しいところ。このくだり、是非とも実際に動いているのが観たかったのです。惜しむらくは、出来ればさつきたちが実際に撮影、編集した映画の演出をそのまんま見せてくれなかったことですが……まあそれは難しかろう。原作通りの流れを踏まえることで、第1話から繋がるさつきの物語をしっかり締めくくった点も好感が持てる。
 なにせ原作が現時点で5巻までしか出ておらず、たぶんもうワンクール埋めるエピソードがないため、現時点で続篇は望み薄ですが、あまりに綺麗にまとまっているので、ここで終わりとなっても別に構わないと思う……制作サイドはそうはいかないだろうけれど。放送済みの会は既に何度もループしてますが、たぶんしばらくは困ったときのBGVとして重宝する。

TVアニメ『ざつ旅-That's Journey-』公式サイト
原作:石坂ケンタ(株式会社KADOKAWA/電撃マオウ連載)のTVアニメ『ざつ旅-That's Journey-』公式サイト。AT-X、BS11、TOKYO MX、読売テレビほかにて、2025年4月7日(月)より放送開始!

 実はこれ、この中では唯一、配信で鑑賞した作品です。何となく気になっていたけど録画設定を忘れ、たまたま時間潰しにテレビを点けたときに放送していて、やっぱり好みじゃん、と思い……で、ふたたび録画を忘れたのです。気づいたときにはもう半分以上進んでて、そこから録画するのもアレなので、諦めてぜんぶ配信で観ました。放送済みの回を数珠つなぎに流してくれるし、観ていないエピソードのチェックも楽ではあったが。
 タイトル通りの雑さに、ゆるめの百合要素を交え、ほんのりと染みてくる話に仕立てていて、なかなか好感度が高い。計算された旅ではないからこその失敗が面白さになってますし、気づけばそういう失敗を“美味しい”と思い始める主人公・鈴ヶ森ちかの感じも良い。窪田等がいつもの穏やかなトーンで“ヤバい”とか微妙に適当なナレーションを入れているのも楽しいところ。
 個人的に嬉しかったのは第11話、第12話の舞台が島根県だったこと。さすがに出雲市駅から出雲大社まで歩いたことはないけど、もはや自分にとって馴染み深い光景がアニメとして描かれているのが嬉しい。とりわけ、鈴ヶ森さんの思いつきで美保関に向かうくだりは笑いました……だって、松江のバス路線の厄介さは身を以て知ってるから。しかも、第11話ラストでちかと先輩漫画家の糀谷冬音がバスに飛び乗ったバス停、まさに私2月にが利用したところだったから。ちゃんと確認すれば慌てずに済んだのに。
 遠出するのはイベント合わせ、しかも2泊3日以上になると、透析のスケジュールも考慮しなければいけない私には、こんな計画性のない旅は非常に難しいんですが、だからこそ観ていて笑えるし、計画を立てない旅の面白さに惹かれてしまう。後半になって絵としてのクオリティが落ちてきたのが残念でしたが、キャラクターと旅の魅力、そこから生まれるドラマはきちんと表現出来て立と思います。

 終わってみれば、けっこうお気に入りの作品が多かったクールでした。6月に入ってむちゃくちゃバタバタして、だいぶ苛立っていた時間もありましたが、だいぶ助かりました……バタバタそのものの解決にはならんのだが。

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