
今日はうんちくはあんましないなあ、と思いつつ、書かずにいられない展開の第四回でした……いや、だって、想像通りでしょ?
手許の資料で、ウサギの取引に手を出していた、というものは見つからないんですが、まあまあありそうなことです。なにせ元手が安いので、食い詰めた武士が手を出しそうだし、そして客観的に考えれば、すぐ暴落するのも想像に難くない。錦鯉のように、その模様や健康状態を生み出すのに工夫と投資がいるから高額になる、というものではないし、市場として確立されてもいない。この当時にひと月で二百円も儲けたのなら、それを元手に、もうちょっと堅実な商売が出来れば……そもそもそんなに機転が利くなら、ここまで苦しんでないか。
意外だったのは司之介の行動。あのまんまそこに十日も居ついてたのか。ちゃんと洗濯もしてたし。本気で出奔するならさっさと松江を離れればいいものを、あんな目と鼻の先でまごまごしていたのは、このダメ親父なりに家族への心残りがあったからかも知れません。或いは、奉職していた松江城への未練かも。あの時期ならきっと、宍道湖付近でも充分に見えたでしょう。現代では、途中にちょっと高めの建築物が挟まるので厳しいですが。
で、発見されてあそこまで諭された挙句に出てくる台詞があれ、というのが本当に、情けないけど笑ってしまう。『虎に翼』でも、色々と心許ないけど憎めないお父さんを演じていた岡部たかしの真骨頂みたいな人物像とひと幕でした。
で、人によってはだいぶショックを受けるであろうその後の食卓の展開ですが、あれも予想通りではある……何もそこから行かなくても、とちょっと思ったけど。他にもいたでしょ、まだ。こっちに未練を持ち続けると、これからの暮らしに苦労を背負い込むことにもなりかねないので、まあ、致し方なし。
そしてここで、過去に戻ってから初めての、レフカダ・ヘブンの姿がちょこっとだけ描かれる。あくまでちょこっとだけ。モデルである八雲、ラフカディオ・ハーンは実際、この頃にシンシナティにいて、その後の記者、作家としてのスタイルの礎を築いている一方、アメリカ滞在中の苦難の始まりをも味わうわけですが……詳しくは、もうちょっとドラマの成り行きを見てからにしましょう。
明らかな苦難の始まりを描き、大変革の時代の生きづらさを冒頭の水死者のくだりなどでちらつかせつつ、ちょっと毒混じりになりつつ笑いもちりばめている。今日はやや毒がきつめでしたが、それでもきなりギリギリの線でユーモアを保っている。個人的にはこの匙加減、八雲や松江という題材への愛着を抜きにしても、かなり好きです。今後も色々と辛い展開が待ち受けているんですが、いい意味で重々しくならないのではなかろうか。
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