自宅オンリーでの映画鑑賞も1ヶ月になんなんとしてます。Netflixのマイリストにまだまだ気になる作品は登録してある――とは言い条、きょうはどれもいまいちピンとこない。他を探すにしても、選択肢があまりに多すぎて絞りきれない。
だいぶ悩んだあげく、昨年末に録画していた、日本映画専門チャンネルの番組を鑑賞することに。昨年末頃、ここで頻繁にかけている古畑任三郎をぜんぶ録画して、編集のうえディスクにまとめておこう、と目論見、番組表をまめにチェックしていたとき、ふと目にとまった作品が気になる内容だったので、録っておいたのです。まさに、こういう機会でもないとそのまんま眠らせがちな事情なので、もっけの幸い。
作品は、樹下太郎の短篇をもとに、怪作『吸血鬼ゴケミドロ』やテレビ『特捜最前線』の佐藤肇監督、西村晃、春川ますみら出演で描くブラック・コメディ・スリラー『散歩する霊柩車』(東映初公開時配給)。
……なんだこれ、面白いぞ。
基底となるシチュエーションは陳腐で泥臭い、けれどその設定の組み合わせ方が巧みで、終始意表を突く展開で翻弄されっぱなしです。先を予想しようとすれば出来ないことはないのですが、その予想される状況へのコマの運び方が絶妙で惹きつけられてしまう。
50年以上前の映画とはいえ、さすがにこの状況でこれは使えないんじゃないか、とかこんな風には話は進まんやろ、と気になるところも多々あるものの、展開自体の面白さで許せてしまう。スパイスの強烈に効いた結末もいい。現代ではなかなかお目にかかれない種類の、センス溢れる佳作。
ざっと調べてみた感じでは、どうも映像ソフトとしてのリリースはまったく行われていないようで、配信の情報も見つからない。紹介しといてなんですが、観るためには専門チャンネルと契約して、放送してくれるのを待つか、神保町シアターあたりの企画で採り上げてくれるのを期待するしかないようです。こーいう往年の佳作こそ、動画配信に回して欲しいんだけどなー。
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[…] 原作:樹下太郎 / 監督:佐藤肇 / 脚本:松木ひろし、藤田傳 […]