10年振りの映画館で、久々にイランの映画を観た。

 ほんとーは火曜日に観てくるつもりだった映画を観てきました――作業が大詰めなのでそっちが片づいたらご褒美に、とも思ったのですが、上映時間の少なさからするといつ終わるか解らないし、そもそもどーにも気になって仕方ない。だいぶ目途は立ってきたので、むしろスッキリさせるために、日が傾き始める頃合いにお出かけ。
 バイクにて訪れたのは新宿にあるK’s cinema。このところ新宿はけっこうよく通っているんですが、ここは久しぶり。いったいいつぶりか、と調べてみたら――2011年2月19日、『MAD探偵 7人の容疑者』以来でした。マジで10年振りだよ。そりゃあ道もうろ覚えだよ。幸い、朧気な場所と外観は覚えてたので、迷いはしなかったけど!
 鑑賞したのは、イランで大ヒットを遂げたサスペンス、取り壊しが決まり囚人の移転が行われた当日に忽然と消えた死刑囚を探して刑務所長が奔走するウォーデン 消えた死刑囚』(ONLY HEARTS Co, Ltd.配給)。同年にイランを騒然とさせた話題作『ジャスト6.5 闘いの証』とセットでの封切になっていて、そっちも気にはなっていたのですが、とりあえず1本だけ、と考えて、前に観た『メルボルン』の監督の第2作であるこっちを優先しました。
 これが嬉しくなるくらい面白かった。序盤、ほとんど説明的な台詞がないせいで、何が進んでいるのか解らないんですが、それが序盤の牽引力となり、事態が見えてくると、謎解きの様相を呈してくる。実のところ、ある程度ミステリに親しんだひとなら細かな仕掛けを見破ることは難しくないんですが、構成が巧みで最後までしっかりハラハラさせてくれます。この監督の初長篇だった『メルボルン』はアスガー・ファルハディ監督の影響が色濃い、イスラム社会の現実を織り込んだ日常から発展するサスペンスでしたが、今回はシチュエーションこそ独創的ですが、異文化の人間にも入り込みやすい面白さがある。緊迫感を軸としつつもロマンスやちょっとした擽りまであって、91分というコンパクトな尺ながら実の詰まったエンタテインメントでした。
 如何せん上映規模が小さく、現在はK’s Cinemaのみ、5日からやっと全国で順次封切られるようですが、これは是非観て欲しい。

 折角新宿まで出て来たので、食事もしていく――というつもりで火曜日は考えてたんですが、今日はギリギリまで迷っていたため、母に「食事はいらない」と告げていない。出かける前に確認したら、やっぱり既に今晩はおでんに決まってたので、鑑賞後は寄り道せずに帰宅しました。改めて歩いてみたら、K’s cinemaは麵屋海神のすぐ近く、五ノ神製作所もそんなに離れてないので、どっちかに立ち寄りたかったんですが、まあ次の機会に。

コメント

  1. […] 英題:“The Warden” / 監督&脚本:ニマ・ジャウィディ / 製作:マジド・モタレビ / 製作総指揮:メーディ・バドリオー /  […]

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