灯台もと暗し、どころか深淵。

 午前中は諸般事情から、検査に行って来ました。身体の具合が悪い、というのではなく、ちょっとしたチェックです。
 場所は家から歩いて数分、という施設なので、移動は楽……とはいえ、ふだん三食きっちり摂ってる者には、朝食を抜いている、というだけでなかなかの負担。想定よりも早く検査が終わったのは幸いながら、「帰りにマクドナルドでポテト買って、昼食前につまむのだ-!」という目論見を破壊するほど速い。けっきょく、母が用意してくれた弁当を、だいぶ早い時間から食べました。
 この予定が入っていたため、映画鑑賞はとりあえず確定させてませんでした。ヘロヘロならやめよう、とも考えてたんですが、しょせん検査だけなので体力はある。昼食後にチケットを確保し、仮眠のあと、夕方からふたたび外出。ただしこんどは、久々のバイクです。雨とぶつかることが多くてなかなか乗れなかったせいもあり、エンジンのかかりが悪い。しばし暖機をし、いつも使うガソリンスタンドで給油して、いよいよ映画館へ。
訪れたのはTOHOシネマズシャンテ、鑑賞したのは、『ウィッチ』で注目された新鋭ロバート・エガース監督作、絶海の孤島にある灯台に派遣された男ふたりを襲う幻影と恐怖を、古めかしくも美しいモノトーンで描き出すライトハウス』(Transformer配給)
 褒めてるのが『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督と『ミッドサマー』のアリ・アスター監督、という時点でなんとなく察しがつきますが、そういう映画です。
 ただしこの“気配”の表現は秀逸。あえてワイドスクリーン登場以前の狭いアスペクト比とモノトーンで描き出す閉塞感と美しさ。起きてること、やってることは薄汚いのに、不思議とヴィジョンとして優れている、それだけでちょっと衝撃ものです。
 ストーリーがまたいい。登場人物は僅かふたり、いずれも背景はおろか、序盤は名前さえろくに触れもしない。横暴なヴェテランと、規則に忠実だがそれゆえに鬱屈を抱えていく若者。ほかに交流するものがなく、日々の慰めも自分で見つけるほかない。当初は酒を拒んでいた若者も、まともに飲める水がない、という理由で酒に手を出し、次第に半狂乱になっていく。彼らが見ているもののどこからがリアルでどこまでが幻覚なのか解らない、それも異様な緊張感と恐怖を生んでいく。
 意味深なモチーフばかり羅列して、すべてに説明をつけていないのですが、それがまた得も言われぬ不気味な余韻を残す。観るひとを選ぶのも確かですが、『ミッドサマー』なみにとんでもない作品です。

 映画が終わったのは20時10分。映画館は21時まで上映はしてますが、外の飲食店などはほとんど締まっている。寄り道のしようもないので、まっすぐ帰宅。
 ……しかしくたびれる1日でした。体力的に余裕はあったけど、それでも朝食を抜いて慣れない検査をした日に観る映画ではなかった……。

コメント

  1. […] 原題:“The Lighthouse” / 監督:ロバート・エガース / 脚本:ロバート・エガース、マックス・エガース /  […]

  2. […]  15日に続いて、きょうも検査のためお出かけ。  前回は徒歩で移動できるところでしたが、今回は電車を使わざるを得ない。その代わり、駅から不気味なほど近いので、移動自体は楽です。 […]

タイトルとURLをコピーしました