かくてセレブは崩壊する。

 相変わらず観たい映画は山積みです。本日の映画鑑賞も、本来ならばもっと早く観ておきたかった1本でした。たぶん今日が最後のタイミングの可能性があるので、ほぼ迷う余地はなかった。
 自転車にて訪れたのはTOHOシネマズ日本橋。『午前十時の映画祭11』を除けば今年初。鑑賞したのは、世界的ブランドの経営者一族の末路をリドリー・スコット監督が豪華な俳優を起用してスタイリッシュに描いたハウス・オブ・グッチ』(東宝東和配給)
 リドリー・スコット監督作品はヴィジュアルそのものがずっと観ていられる。そこへ来て題材が大手ブランドですから、勢い全篇ファッション・ショーのような華やかさがある。
 しかしそれゆえに、登場人物たちの本質的な空疎さが際立ちます。ブランドを築いた家名を守ろうとする者たちと、そこに食い込もうとするパトリツィア。パトリツィアは当初、決してブランドが目当てではなかったようにも描かれていますが、それゆえに次第に富とブランドに取り憑かれていくさまが華麗にして醜い。他方で、ビジネスやデザインにおける才覚をそれぞれに過信していたグッチ家の人びともまた愚かで虚ろ。悲劇を経ても、グッチの名前が残っていることが余計に切ない。
 尺が2時間半を超えていて、それも二の足を踏んでいた理由だったのですが、信頼の高いリドリー・スコット監督のチームらしくテンポは良くダレるところもない。もうちょっとミステリっぽく綴るのかと思いきやドラマ主体だったのがやや拍子抜けではありましたが、堂々として安定感のある1本。実在の関係者には色々と不満があるみたいですが、あくまでも事実に想を得た作品だし。

 鑑賞後は日本橋ふくしま館へ赴く……ここのイートインに老麺まるやが出店しているときは、ほぼ悩まず足を運びます。量の加減も解っているので、注文も基本、麺大盛りです。
 ……しかしあとで思った。ここは基本、毎日数量を限定している。私が大盛りにしたことで、あとにどんだけ影響してしまっているのか。ひとりが大盛りにしたくらいでは差し支えない……と思いたいがどうなんだろう。

コメント

  1. […] 原題:“House of Gucci” / 原作:サラ・ゲイ・フォーデン / 監督:リドリー・スコット / 原案:ベッキー・ジョンストン / 脚本:ベッキー・ジョンストン、ロベルト・ベンティヴェグナ /  […]

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