実は20年越しの悲願。

 通常はプログラム切替直後の火曜日に観に行くのをローテーションにしている午前十時の映画祭ですが、今コマ、なんでか知りませんが時間割が私に合わない。12時台だったり14時台だったり。早いと逆に8時頃スタートなんてのもある。これはこれはキツいな-、と頭を抱えつつ、あちこち調べていたら、いつも使っているTOHOシネマズ日本橋で1日、初日であるこの金曜日だけ10時10分開映になっていた。他に私が行動しやすい時間の上映はなさそうなので、このタイミングに決めました。
 今回も移動は電車です。数日前と比べると極めて過ごしやすい気温、前日に日本各地に被害を及ぼした雨も、どうやら降る可能性は低いようです、とは言え、いつ降るか解らないので念のために。いつ自転車に乗るんだろ私。
 鑑賞したのは、ウォシャウスキー兄弟(当時)が繰り出したSF映画の革命的傑作、プログラムされた世界と人間の常識を超えた戦いを描くマトリックス』(Warner Bros.初公開時配給)。3部作連続上映の第1弾。
 ……実はこれ、ずーっと映画館で観たかったのです。
 本篇の公開は1999年9月11日。私の映画鑑賞本数が劇的に増えるのはこの2年後。ただ既に兆候はあって、それまで年に1本しか観なかったものが、翌2000年には3本、そして2001年には4本。最終的に、2001年に気になる作品が相次いで公開されたことがきっかけで、予告篇で興味を覚えた作品をフォローする、という具合に止まらなくなっていく。
 この、「予告篇で気になったものをフォローする」という発想に至ったきっかけが、恐らく本篇なのです。
 記録を確認すると、1999年には映画館で『ホーホケキョ となりの山田くん』を鑑賞していて、これが8月15日。この翌月11日が『マトリックス』の公開なので、恐らくここで予告篇を鑑賞している。あの有名な《バレットタイム》含んだ予告篇に衝撃を受け、「これは観たい!」と思ったところまでは記憶してますが、けっきょく観に行っていない。この当時はまだ、気になる、が映画館へ脚を運ばせる原動力になりきらなかったのです。
 のちに続篇『マトリックス リローデッド』、『マトリックス レボリューションズ』が公開された際にはすっかり映画館通いが日常と化していたのでちゃんとフォローできましたが、以前の作品の再上映、というのは今以上に実施される機会が少なく、第1作は映画館で鑑賞出来ないままでした。映画館で観る楽しさが実感できるようになればなるほどに、本篇を観られなかった悔しさは募っていた。もしかしたら『マトリックス レザレクションズ』封切の際に、全作まとめて上映するイベントは開催されていたかも知れませんが、少なくとも私は気づかなかった。
 ……と、いうわけで、今回の3部作連続上映は、ほんとーに待ち望んだ好機だったのです。午前十時の映画祭が続いてくれてよかった。
 もう何度も観ているからもちろん驚きはない、しかしこれだけ観返すと、序盤からの様々な仕掛けも見えてくる。世界観や、ネオ達を追うエージェントの特徴など、序盤では意識的に具体的な描写を伏せることで、異界感を演出する手管が洗練されてます。たとえばプロローグのトリニティの逃走劇、終盤にどうしてトラックが出てきたのか、最初は突拍子もなく映るんですが、観返してみると理屈が解る。これは一番シンプルな例で、他の部分も細かに企まれていて、やはりSFとしてのクオリティが高い。
 前述の通り、今回の映画祭では《マトリックス》3部作を連続上映します。続く『マトリックス リローデッド』は12日から。また変な時間割になってないだろうな……この3部作は映画祭参加の劇場で一斉にかかるため、近場にある劇場はあえて上映開始時間をズラしている可能性がある。ならば、今度も全劇場、全上映日を虱潰しにして、いちばん適切な時間割を探すしかないか……。

 ……それにしても改めて、この午前十時の映画祭のありがたみを実感してます。古典的な名作に限らず、前回の『アルマゲドン』や本篇のように、大きなスクリーンで観る方がいい映画をコンスタントに採り上げてくれる、というのが映画好きには嬉しくて堪らない。
 こうなってくると、やっぱりこれも映画館で観たことがない『セブン』と、珍しく映画館で観てはいるけれど大人の目で大スクリーンにて改めて見届けたい『リバー・ランズ・スルー・イット』も午前十時の映画祭で拾って欲しいなぁ。いまにして思えば、どちらも大きなスクリーンでこそ映える作品なので。
 あと、3部作まとめて上映する、という意味では、『マトリックス』の前に『スター・ウォーズ』やるべきだったのでは、とちょっと思わなくもない……もっともこちらには、“初公開時と現行では処理が大きく異なっている”という問題がある。『ゴッドファーザー PARTIII』のように現行版が最善、というわけではなく、ファンの初公開時への思い入れが強いあまり、のちに製作されたプリクエルのダース・ベイダーを演じたヘイデン・クリステンセンを撮影して組み込んだり、という編集に反発するひとも少なくない。上映するとなれば、そこに無駄な軋轢が生まれることも想定されるので、難しいかも。シンプルに、上映権を確保出来るのがどのヴァージョンなのか、という点もネックになるだろうし。こだわって初公開版で、と訴えても許可が出るのか。
 まあ、選ばれていない作品の心配は年明けぐらいに改めてするとして、ひとまずは今年もコンプリートするため通い続けます。

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