2022年の映画納めは、音速の怪獣。

 いつもならプログラム切替直後の火曜日に観る午前十時の映画祭12、しかし今回はあえて、切替直前に観に行くことにしました――理由は後述。
 劇場はいつものTOHOシネマズ日本橋。移動も、最近の流れで電車を利用。自転車だと、帰り道の消耗がけっこう激しくて、あとの活動に差し障りが生じがちなのです。そこそこ運動はするようになったので、また使い始めてもいいのかな、とは思いつつ、行き帰りの車中でテキストをいじる余裕も出来るため、けっきょく電車を使ってしまうのでした。
 鑑賞したのは、『ゴジラ』を生んだ本多猪四郎監督作品、阿蘇山から出没した大怪獣の災厄を描いた『空の大怪獣ラドン〈4Kデジタルリマスター版〉』(東宝初公開時配給)
 小さい頃はそれなりに怪獣が好きでしたが、たぶんきちんとオリジンを観るのはこれが初めて。素直な感想としては……正直、ラドンが出てくる前の方が話としては面白かった。炭坑で起きる謎の事件、犯人の疑いをかけられた人物の家族に対する冷たい振る舞い、それが巨大生物の登場でパニック映画の様相に転じていく。
 もちろんラドンの登場には興奮しますし、なかなか全身を見せない惹きつけ方は巧い、と思う一方で、どうしても描写の不自然さが気になってくる。話の規模が大きくなり、当時はアメリカ領だった沖縄のシーンなど、書き割りで再現しているのが、申し訳ないけどちょっと滑稽。ラドンの羽ばたきが町を破壊するシーンや、クライマックスのカタストロフィといった特撮シーンの迫力、その創意に富んだ作りは一見に値しますが、物語としてはやっぱりもどかしさを禁じ得ない。
 当時の技術でこれだけのものを撮った、という点では間違いなく記憶されるべき作品ですが……個人的には、大枠をそのままに、現代の技術でリメイクしてもいいのではなかろうか、と思いました。モチーフとしてより面白くなる余地あるよね。

 鑑賞後は、日本橋ふくしま館へ。今年、日本橋に足を向けるのは今日が最後になりそうですし、イートインにはちょうど、私のいちばん好きな老麺まるやが来ている。最後の外食はここにしよう、と心に決めていました。
 しかし、世間はもう年末年始の休業に入ったところも多いせいか、お客が実に多い。まだ12時前だというのに、イートインには列を為しているし、店内にも、買い物籠をぶら下げてたくさん買い込んでいる姿が多い。まあ、もともと決めていたことですし、ここに来るまでに、他の飲食店もやたらと列が出来ているのを確認している。なので大人しく並び、食後はあらかじめ決めてあったものをさくっと購入して離脱。

 今年、映画館で観る映画はこれを最後にする予定です。私ゃ年末年始もなく作業が詰まっていて、毎年恒例の映画鑑賞のまとめを作成する時間も考えると、明日明後日に観に行く余裕はない、というのもありますが、実はこれが、映画館で観る111本目だったから、というのもある――たまには、あえてゾロ目で締めくくるのもいい。どのみち、現在の生活ペースでは、2011年の228本なんてイカれた記録を抜くのは厳しいのだし、無理はしない。
 ……っていうか、冷静に考えて、よくあの東日本大震災の年に200本越えを達成したな、と思う。まだプログラムが毎週入れ換えだったこの当時に午前十時の映画祭コンプリートを志しつつ、ジャッキー・チェン出演作の特集上映を可能な限り押さえる、なんて真似をしたせいなんですけど。

コメント

タイトルとURLをコピーしました