プログラム切替直後の火曜日は午前十時の映画祭13を観に行く日、ただし本来は先週。とある事情から1週先送りにしておりました。もう1週は延ばせ……なくはないのだが、観る作品が立て込んできそうなので、私にとっては今日が最後のタイミングです。
外を歩くのもしんどい陽気につき、普段は雨降りのときにだけ使っている、屋根の下を出る時間が最小限のルートを利用。ほんの数分だけど、家を出るとき既に32度くらいに達してますから、外など歩きたくない、歩きたくないのだ。
いつものTOHOシネマズ日本橋にて鑑賞した今コマの作品は、消火活動の最前線にいる男たちが、連続放火事件に挑むパニック&サスペンス映画、『バックドラフト』(UIP Japan初公開時配給)。
たぶん一定の年齢以上の人なら、映画は知らなくてもテーマ曲だけは聴いた可能性がある。何故なら、伝説のテレビ番組『料理の鉄人』のテーマ曲として用いられていたから。かく言う私も、あとで知ってのけ反りました。何なら、この曲を聴くと自然に鹿賀丈史が思い浮かぶくらいになってたぞ。
戯言はさておき本篇です。これも地上波ゴールデンで映画を流すことが普通だった時期に頻繁にかかっていたほうで、断片的に観ていますが通して鑑賞するのは初めて。
アメリカ産のこういう映画では定番の家族の軋轢、肉体派組織一流の手荒い歓迎、とお約束の要素てんこ盛りですが、そこに“バックドラフト”という公開当時はまだ知名度の低かった現象に焦点を当てた解りやすさと、連続放火事件の謎解きを加えたことで、オリジナリティと牽引力が生まれている。超然としたデ・ニーロの介入と、証拠集めの経緯は、ミステリ好きとしてちょっと燃えます。
お約束の要素てんこ盛り、とは言え、そこにそつがないのも美点。はっきりとそう明言はしていないものの、恐らくは父の死を目の当たりにしてしまったがゆえに、消防の仕事に憧れつつも腰が引けている弟と、父の英雄的な死にざましか知らず、愚直なまでに憧れ突き進んできたことで凄腕にはなったが、他の者への共感が乏しくなっている兄。シンプルなようでいて、そんな入り組んだ心象が窺える兄弟の葛藤が、連続放火事件という要素によってドラマティックに展開していく。終盤の展開はさすがにちょっと早とちりが過ぎるだろ、とは思いますが、その辺もサスペンス的な醍醐味と言える。
しかし何よりも凄いのは、やっぱり火災の描写です。むろん、本篇に影響されて生まれた後続のほうがクオリティは上がってきているわけですが、リアリティとインパクトを活写した、という点ではやっぱり特筆すべき作品だと思う。爆発の瞬間なんか、映画館の音響だと振動も体感出来るほどで、これは自宅より映画館など、いい環境で観るべきです。
本質的には有り体でも、装飾と工夫で充分に魅力的に仕上げられる、と証明している優秀な娯楽作品。間違いなく、この映画祭でかけるに相応しい作品でした。
なぜ、通常のローテーションである先週に観なかったか、と言えば、日本橋ふくしま館のイートインにお気に入りの老麺まるやが来ているのがこのタイミングだったから。ここを逃すと、しばらくご無沙汰になりそうなので、意地で合わせにいったのです。今日はお土産も売っていたので、ほくほくの気分で購入。
帰途、なかなか訪れられなかった本屋にも立ち寄り、懸案だったものを3冊購入してから帰宅。
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