プログラム切替直後の火曜日、ではなく、切替翌週ではありますが、午前十時の映画祭13を観に行ってきました……先に言ってしまいますが、日本橋ふくしま館のイートインに老麺まるやが来ているから、どうしてもここに合わせたかったのです。そのうえ先週は先週で錦糸町のラーメン店で食べたい気分だったから、先週、今週と2つの劇場を使って観ることにしたわけ。
というわけで電車にてコレド室町2のTOHOシネマズ日本橋へ。こちらで今コマに上映されている作品は、実際の事件に想を得て執筆された小説をベースに、悪魔に取り憑かれた少女を救済するための戦いを描いたオカルト・ホラーの先駆的傑作『エクソシスト ディレクターズ・カット版』(Warner Bros.初公開時配給)。
実はちゃんと観るのはこれが初めてです。伝説のスパイダー・ウォークとか悪魔祓いのシーンとか、断片的に観てはいますが、なまじ有名すぎてきっかけがなかった、というよくある奴です。本当に、この映画祭で採り上げてくれて助かる。
オカルト・ホラーと言い条、本題であるオカルト要素はなかなか登場しない。静かな演出のなか仄めかされる不気味で不穏な予兆が、じりじりと心を脅かし、気づけば少女が毒牙にかかっている。でも、当然といや当然ながら、現代にすぐ悪魔憑きなんて疑わない。観ていても苦痛としか言いようのない診察の挙句に、振り出しに戻るような処置を言い渡され、一縷の希望としてその名が挙がるまで、頼ることすら考えない。すべて当然、でもだからこそ窮まった怖さがある。
それまでもときおりその姿が描かれていた神父がここに来てようやく表舞台に登場するものの、数多の後続作品が生まれたいま観ると、その描写はどちらかと言えば地味です。ただ、ドキュメンタリー的な描写を好むウィリアム・フリードキン監督らしい、細部を疎かにせず着実に描いていくことで、リアルな迫力が生まれている。
しかし、フォロワーが無数に存在するいま観ると、本篇の肝は、後続の作品にあるような起点が恐らくは意識的に省かれている点のような気がします。なんとなく、解り易い始まりがあって悪魔が取り憑く、みたいに考えてしまいますが、よくよく考えると本篇のような描き方の方が筋が通っている。だからこそ、怪異の数が多くなくとも、急に驚かすような趣向がなくても、充分に怖い。
あの有名なテーマが意外なところで使われてたり、肝心のシーンでは決して派手な音楽、効果音に頼っていなかったりして、明らかに王道ではないのに、それでもなおまだ後続作品に超えられない迫力がある。今更ながら傑作でした。
TOHOシネマズ日本橋では今週金曜日から『ミツバチのささやき』です。やっぱりものすごい作品だったので、もう1回くらい観てもいいかな、という気分になってますが……今週末、観るつもりでいた映画が最低5本はある(忘れているものがありそう)なので完全にそんな余裕はない。幸い、そのあとは少しペースが落ちますから、今週末公開のものを散らしていけばいいのですが私があんまし興味を持たない作品もいっぱい封切られていて、スクリーンはどんどん埋まっていく。
映画を観たあとは、予定していたとおりに日本橋ふくしま館へ。無事にまるやのラーメンにありつく。今回の出店は今日が最後、私が到着したのは12時半頃、とやや出遅れていたこともあり、まるやが来たときにしか売っていないお土産用のラーメンは既に無くなってましたが、まあこっちは致し方ない。
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