心蕩かす甘さの魔力。

 プログラム切替直後の火曜日は午前十時の映画祭13を観に行く日……としてましたが、今年からはローテーションを変えようかと思ってました。
 そもそも火曜日にしていたのは、人工透析のために施設に通っていたのが月水金で、当時はお昼過ぎから実施していましたから、どうしてもこの3日は外さざるを得なかった。夕方以降の上映なら、透析の終了時間を調整してもらえば何とかなりましたが、開始時間については、他の通院患者との兼ね合いもあるのでずらせなかった。在宅透析に切り替えてからは、そこにあんまり気を遣う必要はなかったのですが、母の仕事のシフトとの兼ね合いで、火曜日に固定しておくのがちょうど良かったのです。
 が、昨年末の体調不良を契機に、母は移動の面で無理のあった仕事をひとつ降りた。それによって、私がお昼の予定をわざわざあわせる必要が減ったため、もう火曜日固定にしなくてもいい、と気がついた――なにせこのスケジュールに固定してからまあまあ時間が経ったので、ローテーションを変える、という発想がすぐに出て来なかったのです。ここでは書いていたかも知れませんが、身についた習慣は意識しなきゃ変えられない。
 といいつつ、今回も火曜日にしたのは、月曜日が成人の日にあたってしまったから。ふだん、平日の空いている時間を選んで映画を観に行く私には、祝日の混雑はちょっと鬱陶しいのです。ローテーションの変更は次回以降に見送りました。

 劇場は、私にとっては午前十時の映画祭を観に行く定番であるTOHOシネマズ日本橋。きょうは朝からお腹の調子が悪く、家を出るのが少し遅くなりましたが、どうにかギリギリで劇場に駆け込みました。
 鑑賞した今コマの作品は、『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』のラッセ・ハルストレム監督2000年作品、フランスの閉鎖的な小村にショコラティエの母娘がやって来たことで巻き起こる騒動を描いたドラマ『ショコラ(2000)』(Asmik Ace×松竹初公開時配給)
 初公開当時、劇場でしっかり観てます――が、まだ映画感想をきちんと項目として起こしてなかった時分のことなので、後日改めて、ちゃんとした感想を仕上げます。いつになるか解りませんが。ちゃんと観るのも、ほぼそのとき以来です。
 色々と知識が増えてから鑑賞すると、けっこう意欲的で挑発的な内容です。なにせ、見ようによっては“悪魔の誘惑”そのものなのは事実で、断食期間にやって来たチョコレートの誘惑が、村の伝統を破壊してしまう話、としても受け取れる。
 しかし、やはり本質的には、暮らす人に我慢や不幸を強いる価値観に囚われている、というのも窺える。その代表格がジョセフィーヌです。暴力的な夫に虐げられ、盗癖まで生じていた彼女に主人公のヴィアンヌが理解を示し、受け入れたことで解放された。それに対し、離婚を認めないカトリックの教義に固執した村長が、ジョセフィーヌの夫に教育を施すくだりに、どうしても滲むズレた感覚。全般にだいふギリギリな表現や展開を選んでいるのですが、旧弊な価値観の窮屈さと、解き放たれる喜びはくっきりと描き出されている。、こす。 舞台を絞り込むことで箱庭めいた感覚を生み出し、ヴィアンヌの影響を受けた部分により鮮やかな色彩を織り込むことで、硬直と解放の対比を視覚的に見せるやり方が巧い。
 反対側の目線に立つと微妙な部分もあって、理想の物語に過ぎないな、とも思うのですが、だからこそ、現代社会に通ずる世界でのファンタジーとして快い。優しい気分になれます。漠然と記憶していたより、いい作品でした。

 鑑賞後、立ち寄る店は当初、決めてありました。しかし、いざ向かってみたら、お店の外に人が溜まっている状態。今日はやめておくか、と離脱し、別のところも巡ってみましたが、候補に考えていたお店がことごとく混んでいる。連休や長期休暇の期間が明けた直後、勤め人の皆様はお昼に外食を選ぶ傾向にあるのか、どこも混雑することが多い。そのことを思い出して、きょう日本橋で食べるのは難しい、と判断、とりあえず電車で自宅最寄り駅へ。
 改札を出たところで、ファストフードでも買って帰るか、とメニューを調べたものの、血糖値が下がってきたのを感じてきた。こりゃあ、ファストフードのお店まで寄り道する余裕はないな、と考え、より自宅に近いコンビニで買って帰ろう、と立ち寄ってみるも、いよいよ冷や汗が滲みはじめて、もう会計している余裕もない、と何も買わずに慌てて帰宅。ストックしてあるカップ麺と、ちょうど母が食べるつもりで準備していたおにぎりを分けてもらって、どーにか事なきを得ました。久々に危なかった……甘いもの食べる映画を観たあとで低血糖なんて笑い話にもならぬ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました