こんな映画は、撮られないのがいちばんだった。

 まだ気持ちに余裕があるので、今日も今日とて映画鑑賞です。
 が、天気は悪い。先月からときどき夏日もあったくらいなのに、今日はよりによっての雨模様で、気温も低い。服装に苦慮しつつ、電車にて日比谷に向かいました。
 劇場はTOHOシネマズ日比谷の宝塚劇場地下にあるスクリーン13、鑑賞したのは第96回アカデミー賞長篇ドキュメンタリー部門受賞、ロシアによるウクライナ侵攻で最初の標的となったマリウポリの運命を、侵攻直前に現地入りしたジャーナリストが命懸けで撮影した記録マリウポリの20日間』(SYNCA配給)
 戦争の是非とかロシア側のあまりにも身勝手な論理とか、色々と語りたくなってしまいますが、もうそういうこと以前に、これを撮ったことにまず敬意を払いたい。侵攻数日で海外のメディアが撤退していく中、現地にギリギリまで留まり、理不尽な悲劇を記録し続けた意義は大きい。
 現地に留まっているからこそ伝わる緊迫感があまりにも強烈です。現地入りしたときはあまりにも穏やかすぎる光景が、着実に崩壊し、一般人の生活が奪われていく。ロシア側の表面的な物言いに取材陣も最初は欺かれ、やがてはろくに通信も繋がらなくなり、まともな情報も入らなくなる。まだウクライナの領土であった時点で、爆撃しているのはウクライナだ、と憶測を口にする住人さえ現れ、大量の屍体をやむなく無造作に葬る病院関係者に至っては「誰だか知らないが、こんな戦争を始めた奴はくたばればいい」と言わしめる。戦争というものに、それまでの生活を無慈悲に奪われる人々の嘆きが、恐ろしいほど生々しく刻まれてます。
 この作品が実現したのは、撮影機材の性能が高くなったからこそでしょう。以前なら、大量のフィルムを抱えて異動するには限界があり、ここまで長期間にわたって撮影出来たのは、素材がコンパクトになったことも寄与していると思う。そして、通信できる機会も限られた中で、ようやく断片的に送った映像に思わぬ批判を受ける、というのも、現代ならでは。
 観ていて終始心苦しく、この人達がなぜこんな酷い目に遭わねばならないのか、理不尽に震える。本篇の監督はアカデミー賞の受賞スピーチで、「この壇上で、この映画が作られなければよかった、などと言う最初の監督になるでしょう」と切り出していましたが、本当に、撮られて欲しくなかった。しかし、だからこそ重要な作品とも言える。こんなことがあった、と知るべきだし、それを忘れてはいけない。
 ……しかし、解っちゃいたけどキツい作品でした。間違いなく観るべき作品だったし、後悔はしてないけど。

 鑑賞後は、私には最近いちばん利用しやすかった日比谷ラーメンアベニューへ……行くつもりだったんですが、昨年秋頃に1店舗が撤退していて、その後新しいお店は入ったのかしら、と思って昨晩調べてみたら、何と今週火曜日を以て、日比谷ラーメンアベニューそのものが閉店していた
 映画館に行く前、ほんとーに入口前に閉店の案内が貼りだされていて、下りの階段手前にロープが渡され、内部がひっそりとしているのを確認しているので、もはや疑いようもない。他にお昼時、すっと入れるお店をこの界隈で知らないので、日比谷しまね館で軽くお買い物をしたあと、食事をせずに家路に就き、自宅最寄りのコンビニで昼食を買って帰りました・またお店を探さないとなぁ……

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