舞台挨拶のチケットが取れなかったので、普通に観に行く。

 当初、今日は大人しくしているつもりでいたのです。
 ジャッキー・チェン舞台挨拶のチケット確保に惨敗するまでは。

 ジャッキーが来日、来週の火曜から3日間、都内の各劇場で2回ずつ舞台挨拶を実施する、という発表を見て、こりゃさすがに押さえるしかない、と思った。一時期やたらとジャッキー作品を鑑賞しましたが、生でお目にかかったことはないのです。
 昨日の21時から各劇場のサイトで販売が始まる、と聞いて、透析をしつつ少し前からノートパソコンのブラウザを起動し待機していた。狙っていた火曜日の丸の内ピカデリーのページを開いておいて、時間と共に、リロードを実施。
 既に、5000人以上の待ちが生じていた。
 明らかにキャパオーバーです。当然の如く、読み込めたときには1席の空きもない。別の劇場も同様でした。
 まあ、舞台挨拶のチケットが取れなかったのは致し方ない。しかし、既に観に行く気満々になっていたのに、舞台挨拶がないだけで断念する気分にもなれなかった。深夜まで悶々とし、夜が明けてからも悩んで、各劇場のスケジュールを調べなおし、そしてお昼になって、ようやく決心が付いた。さっそくチケットを確保し、昼寝のあと、バイクを出しました。
 行き先はユナイテッド・シネマ豊洲――なんか、ユナイテッド・シネマはローソンの傘下に入り、これから順次“ローソン”を冠するようになるそうですが、ここはまだついてません。からあげクンも販売される、という話なので、そこだけは早く実施して欲しかったりして。
 鑑賞したのは、ジャッキー・チェン主演最新作、年老いたスタントマンが、愛馬と共に再起を図るコメディタッチのドラマライド・オン(2023・字幕)』(TWIN配給)
 これまでのジャッキー作品と趣を違えつつ、ほぼ彼のスタントマンとしての人生を総括するような内容になってます。年老いて、愛馬と観光客相手の商売で生計を立てようとしているものの、背負った借金のために首が回らない。その愛馬さえも裁判で奪われかねない状況に、たったひとりの肉親であり、法律を学ぶ娘を頼ったところから、再起を賭けたドラマが展開していく。
 途中から愛馬とスタント撮影に挑みながら、随所で過去のキャリアに言及するのですが、これがもろにジャッキーそのもので、しかも何箇所かでアーカイヴの引用もしているので、実質これは俳優ではなくスタントマンとしてのジャッキーの集大成と言っていい。更には娘の恋人に対する“稽古”や、劇中で実際に行うアクションのシチュエーションに、細かにジャッキー作品のエッセンスを鏤めていて、観ていて堪らない。
 ただその一方で、感動的だけれどファンとしては複雑な思いを抱かされるドラマも展開します。ジャッキー作品では意外となかった、王道の家族ドラマを特徴的なユーモアで綴りつつ、とうの昔に盛りを過ぎたスタントマンとしての葛藤を描いている。劇中で起きる事故や、現代のスタント事情、そして主人公の現在に大きく影響を及ぼした出来事など、スタントマンとしての宿命に、娘との難しい関係を辛め、終盤のドラマへと結びつけていく。そして最終的に辿り着く物語は確かに涙させるんですが、一方で、現在のジャッキー自身が抱いているかも知れない一種の“悟り”まで感じてしまって、いささか切ない。
 とはいえ、自身のキャリアすら物語として昇華させた、老境に至った彼の集大成として申し分ない内容。きっちりジャッキーらしいアクションや、お馴染みエンドロールのNG集もちゃんと用意されていて、ファンにとっても嬉しく、ジャッキー初心者でも入りやすい作品だと思う。でも、やっぱり切ないなあ。

 鑑賞後は、豊洲での映画鑑賞の際にはほぼ必ず立ち寄っているど・みそにて、いつもよりやや遅い夕食を摂ってから離脱……さすがにこの時間だと、食べ物を口にせずにバイクに跨がるのは危険です。
 今更ながら舞台挨拶を買い逃したのがものすご~く悔しく思えてきましたが、まあ本編は無事に鑑賞出来たので良しとする……上映館も上映回数も減っているので、たぶん今週を逃すと映画館で観るのは難しくなっていたでしょうから、たぶんちょうど良かったのだ。たぶん。

ユナイテッド・シネマ豊洲、スクリーン10入口脇に掲示された『ライド・オン(2023)』ポスター。
ユナイテッド・シネマ豊洲、スクリーン10入口脇に掲示された『ライド・オン(2023)』ポスター。

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