本日は久しぶりの、イベントつき上映での映画鑑賞です。これはだいぶ前に、映画公開の情報を得てから、どっかでイベントつきで鑑賞したかったので、むっちゃくちゃ楽しみでした。
とは言え、チケットを買えなかったら、本来の初日である昨日、観に行くことを考えていた。しかしこちらの危惧に反して、私が狙っていた17時半からの上映は、至極あっさりとチケットが買えてしまった……先行する14時台のチケットが先に捌けたのは、たぶん舞台挨拶が上映終了後で、登壇者がネタばらしを気にせず喋ってくれる、と考えた人が多いから、と推測。私は、そこまで気にしてないからいいのだ。というか、機会があれば単独公演も観てみたい、と思うくらいかが屋がけっこうお気に入りなので、ネタに踏み込んだ説明は二の次です。
イベントが17時半ですから、昼食、仮眠を済ませてお出かけ……のつもりが、『オホーツクに消ゆ』が佳境で止められず寝付けず。早めに仮眠を諦め、眠気覚ましにあれこれ動いて、更に己に気合いを入れることも含めて久々にバイクで移動することにしました。本来、眠気が強いとき駄目なんですが、ちょっと間が開いた分、己の緊張感も高まったので、ちょうどいいくらいでした。
映画館のある新宿に到着すると、お目当ての劇場の前に寄り道。まずは、前に角川シネマ有楽町で観たとき品切れだった『風が吹くとき』のパンフレットを、新宿武蔵野館にて購入。ここはだいぶ長くかけていたようですが、逸れもどうやら次の木曜までだったらしく、ギリギリでした。その後、紀伊國屋書店にて、気になっていた新刊を購入、更に目的地近くのローソンで、本日確保出来た別のイベントのチケットを発券して劇場へ。
……率直に言って劇場側の、こういうイベントを立て続けに開催する場合のオペレーションがまったく練られていなくて不快でした。先行回の観客が出払う前に私も鑑賞する回の観客が詰めかけてしまい、どこに立っていればいいかも解らない。私は映画を観るときは基本、ドリンクとパンフレットは購入することに決めているのですが、飲食と同じカウンターで購入するのかも解らないばかりか、そのカウンターにどこから並んでいるのかも解らない。支払をしている人の後ろに着いていたら、店員が横から呼びかけてきた他のお客にまず応じようとしたことで、苛立ちが爆発してしまいました――暴れたりはしないけれど、呼び出してもらった責任者の方に、なるべく人の邪魔にならないところに来てもらい、出来るだけ手短に苦情を入れました。あんまりやりたくないんだけど、どうも映画館の人はこういうことに無神経になりがちなので、けっこう言ってしまうのです。とはいえ、忙しいイベントの合間なので、ひととおりお願いをしたら、戻ってもらいました。
――気を取り直して、イベントに臨みます。
司会は鈴木あきら1。彼女の呼び込みでかが屋の加賀翔、同じく賀屋壮也、映画版で初参加となる和田雅成、世古口凌、そして監督の谷口恒平の順で登壇。
まずはそれぞれの役柄などの話から入るのですが、何せ本篇前なので、みんなネタばらししないよう探り探り話しているのが面白い。とりあえず、ドラマの序盤で明かされる事実については、観てなくても諦めて、という感じでぶっちゃけてたので、そのあと縋るように何度も言及してました……でも、私はそこについては伏せる。お陰で書けないこと多いけど伏せる。
印象的だったのは、実はこのドラマがかが屋ありきで始まっており、オファーを受けた監督が、かが屋が主演なら、と予測できた低予算制作の苦労を引き受けてくれた、というエピソード。この監督は白石晃士作品などにも関係していて、フェイクドキュメンタリーへの素養もあるから、そちらが先行しているもの、と思ってたんですが、なるほどだからかが屋の芸人としての資質がうまく活きていたのか、と納得。このシリーズは、ふたりが中心となって生み出すコメディの空気感が、ほかの考察系フィクションを絡めた作品と違う雰囲気を醸しているのが魅力、と考えていましたが、決して偶然生まれたものではなかったらしい。
とにかくこの作品には、監督や主演のかが屋のみならず、出演者、スタッフの愛着が強い。何でも、この日の舞台挨拶の盛況ぶりに、カメラマンの奥さんが喜んでいたそうな。だからこその熱量が、シリーズとしての成長につながっている。また、ホラーと銘打ちつつも、自らホラー嫌いを以て任ずる加賀が観られる、と太鼓判を捺すくらい見やすいのも魅力。全員、続篇への含みを持たせて、舞台挨拶は終了。
というわけでこれより映画本篇、今回もオカルトライターと映像編集者が、謎めいた動画の謎解きに挑む『この動画は再生できません THE MOVIE』(ビデオプランニング配給)です。
しっかりとドラマシリーズの魅力を留めつつ、見事にちゃあんと長編映画となってます。この辺は予告や広告で察しがつくのではっきり書いてしまうと、劇中作はぜんぶで3本、90分ちょっとの尺からすれば自然な分量ですが、1話につき1本を片付けていたテレビシリーズと違い、各々で謎解きをしつつも、長篇として成立している。相変わらず、映像技術があちこちに絡んでくる謎解きは、そういうのが好きな者としてはにやりとさせられます。そして、細かに納得のいく驚きを演出する巧みさ。
そして、ちゃんと長篇映画らしく、クライマックスの見せ方もなかなかに派手で、カタルシスも著しい。まあ、ミステリ好きとしては、その成り行きは成立しにくいんじゃないか、とつっこみたくなるところも多々あれど、驚きとしての演出が巧いのであんまり固いことは言いますまい。
何より、この映画版でも、コント職人であるかが屋の空気感が非常に活きて、ホラー・ミステリーとしてきちんと作られつつも、随所で笑いを生んでいます。緊張しっぱなしで疲れがちなクライマックスでも、細かな笑いがちりばめられていて、それがいい緩急にも繋がっている。
深く楽しむためには、ひとまずテレビシリーズは予習しておいた方がいいですが、これだけでも充分に面白い。舞台挨拶の盛況ぶりに自信をつけたようなので、その勢いのまま、続篇をお願いしたい。テレビシリーズでも映画版でもいいから是非に。
ちなみにかが屋の加賀は、映画館の近くにあるカフェでバイトしていたそうな。是非とも、鑑賞後はそのカフェを訪ねて、パンフレットを広げつつ「面白かった」と噂して、かつての職場に「あいつ成功してるんだ」と思わせてほしい、とのことでした。……私は家で夕食を摂るので直帰しましたが、映画鑑賞後に時間的余裕のある方は是非どうぞ。
シネマート新宿が入っているビル、1階通路部分のエレベーター向かいに掲示された『この動画は再生できません THE MOVIE』ポスター。
- 名前の漢字は特定できなかったので、ひらがなにしました。すずきあきらさん多すぎる。[↩]
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